宗教関連の仕事の将来の見込みは悲観的な状態になると

お仏壇は大変なご商売です。利益率がとても高く、呉服を七十五とすると九十くらいです。呉服には浮き貸しと言って、売れたら帳簿に上げる、店の在庫負担が少なくてすみます。
 仏壇は浮き貸しがありません、仕入れたものは余程のことが無いと返品出来ません。それに空気を売っているような容量がある商品なのです。
 多分ノックダウン商品(パーツで送り仏壇屋さんで組み立てる)のようにしてあると思うのですが、配達も運送も展示も何かと場所を取る大変なご商売だと思います。
 観音院は、仏壇屋さんに限らず、石屋さんも、葬祭関係に一切のリベートを払いませんし、受け取りもしません。
 ご商売には係らない方針があるからです。リベートと言う単語に強すぎるくらいのアレルギーがあるのです。
 家具風の仏壇もありますが、家具そのものが、作りつけ家具に押されて斜陽化していますので、将来の見通しはあまり明るくありません。
 新しいタイプの住居には、お仏壇の置けるスペースが無いのです。
 観音院の東京事務所は、所謂、最新式のマンションの大きめなスペースの中にありますが、下駄箱も天井まで、各室とも、作り付けの大きな扉の付いた棚があり、ふつうの仏壇の置ける場所は何処にもありません。
 仏壇に限らず、神棚も望まれます。仏壇製造元と家具製造元は重複することが多く、何とか考案してください。
 仏壇付き家具は既に見たことがありますが、何とも陳腐なもので、全体と調和していません。
 家の中に仏間を設けるのは無理なことだと思います。
 仏壇の置き場が無い、時には箪笥の上の、目よりも高い場所に乗せてあって、お参りに行くと箪笥に向かって読経するような漫画場面も、まま見られます。
 仏壇を買い替える時は古い仏壇は必ず仏壇屋さんに引き取ってもらってください。価格の中に引き取り費用も含まれています。今時、街中の寺院で仏壇を処分できるところはありません。
 新しい仏壇や新しいお墓を求める際に、巨大で壮麗なものを求めると、屋根にぺんぺん草の生える前兆です。
 仏壇も墓石も、再来のお客さま来られることが殆ど無いご商売です。ですから一度きりかも知れませんが、信用と親切が口コミで広がって繁栄が可能なお仕事と言えましょう。
 仏壇ですと一年に一度くらいは顧客先を訪問して補修するとか、石屋さんですと、墓石が傾いていないかなどのサービスに心がけてもらいたいです。
 墓石も仏壇も、永い目で見ると消耗品です。形あるものは必ず変化するものだということが基本のお仕事です。
 中陰明けの供物も、婚礼の引き出物も、迷惑なものが多くなりました。返礼の習慣は無くしたいものです。
 百円ショップの仕入れ価格の天井は五十円ですから。そこで何かを買って返礼に使うと良いと思います。間違い無く実用品です。
 お寺は、本当の意味の皆さんの仏壇で、毎日供物が供えられ、香が焚かれ、花が供えられ、読経がなされます。
 このままでは仏教の居場所がご家庭から無くなりつつあります。
 それに漢文のお経がいけません。聞いても有り難いようで退屈しますね。
 仏教が中国を経て日本に渡って来たことから、千年以上、私たちが日常使用する言語と大変な相違が出来ました。
 現在、観音院の常用経典を編纂中ですが、何方か施主になってください。
 経典は寺の存在意義を示し、み仏さまのお徳を称え、日々皆様が読経されるもので、大きな功徳があります。
 どんな功徳があるか詳しくは存じませんが、お寺では決して忘れることはありません。荒木さん、宮島さん、児玉さん、古田さん、三好さん、岡村さん、矢野さん、山口さん、松本さん、林さん、富永さん、田中さん、平田さん、河野さん、平山さん、、、四方八方の方々から莫大なご喜捨を受けました。
 全部の方のお名前を書きたいのですが、常用経典が電話帳のようになってしまいます。
 観音院の大般若経千二百巻(六百巻が二組)にも、それぞれ施主があります。二十五菩薩さまも、仏具の一つ一つに施主がおられます。
 それに新しく意を発して僧侶としなられる方にも、全て施主がおられて、法衣などを購入していてくださいます。
 得度した際の法衣は、普通は自弁するものです。どなたか知らない人が、一人の僧侶の発足に際して法衣一式を喜捨されていることを、得度受者は認識しておくべきでしょう。
 仏具の話が得度や常用経典施主勧募に及んでしまいました。

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