念珠・数珠 その一


念珠の功徳(くどく)

私たちは、み佛さまを拝むとき、念珠(ねんじゅ)を手にします。念珠は佛教徒の証(あかし)と言われています。そして、それは持つ人の慈悲(じひ)と戒律(かいりつ)を表すとされています。

ご真言をお唱えするときは念珠で数を数えます。そのため「数珠(じゅず)」とも呼ばれます。念珠で数を取るのは、数を数えるという雑念に捕らわれないためです。

念珠の珠(たま)が百八珠あるのは、人間の百八煩悩(ぼんのう)を悟りに転ずることを表し、念珠を繰(く)るのは、身・口・意(しんくい)の三密行(さんみつぎょう)とされます。

念珠は念誦(ねんじゅ)に通じます。菩提樹(ぼだいじゅ・お釈迦さまがその樹下で悟りを開かれた聖樹)の実を用いた念珠で、一遍唱えれば、無量無辺不可説の福を得ると説かれています。

念珠の作法(さほう)

真言宗では、百八珠を正式な念珠としています。念珠は百八珠を二分している大珠が二つあり、これを親珠(おやだま)と呼びます。

念珠を手首に掛けるときは、左手首に掛け、このとき長いものでも一重にします。二重、三重にしたり、手首に巻き付けたりはしません。

合掌は左手の掌を少し上向きに、その上に右手の掌を重ねます。そして右手の親指が左手の親指の上にくるように、指先を軽く組み合わせます。これを金剛合掌(こんごうがっしょう)と言います。片手で持つときには、二重にして左手の人指し指に掛け、親玉と房を手の中に入れ、握りしめます。

置いておくときは、三重にして浄明(じょうみょう・親珠の隣にある小珠)の付いているほうの親珠が上になるように、ご本尊さまの方を向くように置きます。

手に掛けるときは、左手の人指し指と、右手の中指に房が手のひらの中にくるように掛けます。

念珠は手首にかけ、手に持つもので、ネックレスのように首に掛けるものではありません。

短い略式念珠のときは、法要中は左手に軽く握ります。合掌するときは、念珠の輪の中に両手先、または片手先を通します。

ときに念珠を激しく摺(す)り鳴らす方がおられますが、通常は摺るものではありません。そして、法要中には絶対に念珠を摺らないようにお願いします。法要中は僧侶が念珠を摺ってご祈念やお経の合図としているからです。

お念珠は、身につけているだけで罪障を滅し、無量の福を受ける功徳があると言われます。み佛に感謝し、心を込め、優雅に美しく扱いたいものです。

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