— 赤白(こうはく)の
お姿拝し ありがたや
清き願いを 萬倍に–
観音院の境内(けいだい)にお護りします赤い堂宇(どうう)には、ご霊験(れいけん)あらたかな萬倍さまの御神体と、萬倍さまの御使いであられる「赤だるま」さまと「白だるま」さまがおまつりされております。
「赤だるま」さまは毎年一月と二月に、「白だるま」さまは六月から七月にご信徒の皆さまに授与されます。
おまつりされるご家庭や事業所に大いなる福徳知恵をもたらされ、幼子にも親しまれ、全国各地の皆さまに崇敬を受けておられます。
萬倍さまは宇賀神(うかじん)さまといいまして、五穀豊穣の穀物の「福の神」さまで、お大師さまが一刀三礼(いっとうさんらい・一刀三礼とは、一度刻んでは三回礼拝して最も丁重に仏像を仕上げることです)のお作法で御神体をご謹刻され、礼拝されたと、伝えられております。
萬倍さまのご本地は「薬師如来さま」でございます。本地とは本来の姿と言う意味で、日本には古来より先祖の霊や神々を敬い、本地垂迹(ほんじすいじゃく)と神仏融合同体という考え方がございます。本地垂迹とは、み仏さまや菩薩さまが、わたくしたち衆生を救うために神(仮の姿)として現れることをいいます。
それでは「萬倍さま」の本地仏であられる薬師如来さまとはどのようなみ仏さまでしょうか。
阿弥陀如来さまは西方極楽浄土のみ仏さまでありますが、薬師如来さまは東方浄瑠璃(じょうるり)世界のみ仏さまで、薬師瑠璃光如来、大医王仏、医王善逝(ぜんぜい)とも言われて特にご信心されております。
紫青色の美しい宝石(瑠璃)の輝く東方浄瑠璃世界にて、日光菩薩さま、月光菩薩さまの両脇侍(きょうじ・わきじ)をはじめ、宮毘羅(くびら・金毘羅)大将や伐折羅(ばさら)大将など「護法(ごほう)十二神将(しんしょう)」を従えてております。
十二神将は、時をあらわす十二支に対応して二十四時間、時空を超えて常にわたくしたち仏教徒を力強く守護しているといわれております。
三蔵法師玄奘(げんじょう)さまの翻訳された薬師瑠璃光如来本願功徳経において、お薬師さまは十二のご誓願をお立てになられております。
第一願「光明照曜」自から発せられる浄光で遍く世界を照らす、
衆生と共に悟ろうという誓願。
第二願「随意成弁」威徳と人徳により、人々を悟りの境地に導く。
第三願「施無尽物」人々の願いを叶え、満ち足りた環境に導く。
第四願「安立大乗」大乗仏教の正しい教えに導く。
第五願「具戒清浄」人々に戒律を保たせる。
・・・・・・、など十二のご誓願がありますが、特にお薬師さまの御名と「第七願」の「除病安楽」とがあいまって、病気平癒専門のみ仏さまと思われる方がいらっしゃいますが、わたくしたちがこの「現世」をより善く行きぬくために御力をくだされ、身心の病、社会の病をもなおし、癒して、人々を「まことの道」に導いて下さる仏さまであります。
萬倍さまは観音院の守護神、福の神、法主さまの守護神として、お参りの皆さまの豊饒(ほうじょう)の守護神としてたいへん有名です。
薬師如来さまが本地の「萬倍さま」は、常々法主さまが言われておられますが「世のため、人のために尽くしたいので力を与えて下さい」と願う人の、福・徳・知恵を万倍にし、所願成就、家内安全や家族守護、学業成就、商売繁昌にご霊験があると、皆さまに深く信仰されています。
*「萬倍さま」にお参りのお作法は、
■御前にて合掌礼拝されてから仏教の◎◎(はくしょう)※手偏に白(ハク)+掌
(柏手・かしわでの元)を二回打ちます。
■次に、仰ぎ見られて、合掌礼拝し、ご祈願し、萬倍さまのご真言を7回お唱えします。
「ご真言 まんばい」
■再び合掌礼拝し、はく掌を二回打ち、
■最後に、合掌礼拝します。
観音院にご参詣になり山門を入られたら、先ず日切(ひぎり)地蔵菩薩さま、次に、萬倍さまににお参りされ、ご本堂にお上がりください。
複雑な社会情勢を反映してか、朝に夕に萬倍さまへのお参りも増え、全国からのご祈願、お札やお守り、だるまさまのご送付で僧侶の方々が大忙しとうかがっております。
皆さまも霊験あらたかな萬倍さまをご信心され、不思議な御力を頂かれ、福徳知恵を万倍にして頂かれて下さいませ。