構造的残虐な犯罪に死刑で報いる制度

 日本は社会に仏教が根差し、比較的仏教徒の多い国で、仏教は全て「不殺生」を説きます。しかし、刑法の極刑は、死刑または無期懲役です。その中間に位置する終身刑はありません。求刑する人も判決する人も、無期懲役では被害者の心情に配慮したものとは言えず、ならば死刑の判決を選択する。これは殺生の選択であり、その後も複雑です。法務大臣の署名が無いと死刑は執行されません。死刑執行に署名しないと話して、後日発言を撤回する、この大臣の発言には明らかに揺れがあります。死刑の判決書には執行日が記載されていないから起きる大臣の心の揺れですが、死刑制度は誤判があった場合に回復が不可能な制度です。もし終身懲役の制度があれば、求刑する人も、判決する人も、精神的に楽かも知れません。さりとて、終身懲役は死刑よりは残虐かもしれません。

残虐な犯罪は自分に関係はない
多くの人は自分は何事も大丈夫
残虐な犯罪に巻き込れると一変

 私は、冤罪を避けるために死刑廃止を、万一冤罪が証明された時に回復が不可能だから死刑に反対ではありません。
 単純に「不殺生」という教えを大切にしているので、死刑は殺生に該当するから反対です。
 極悪な犯罪の被害者達や世論が加害者に死刑の判決を求め、そうなる事の流れが殺生に該当すると思います。
 もちろん、それ以前に実行される極悪非道な殺生も無くしたいと願います。
 「生きているものを殺すな」これは、仏教の根本の教えですから、自動車の運転を気をつけなさい。危険物は十分に注意して扱いなさい。飛行機も船舶も乗り物は最大の注意を払って運行して下さい。無用に生き物を殺さない、生物を伐採しない、自然の野山を開発しないなどの沢山の考え方を含んでいます。怨んだり、憎んだりしても、衝動的な行動でも、絶対に殺生するな、という教えです。戦争行為による死者の発生も否定し、戦争も否定する考え方です。目には目、歯には歯と言う考え方でも無く、刑法の考え方でもなく、「殺生はするな」と言う考え方です。
 ですから、戦争に反対、死刑制度にも反対ということになります。
 一番困るのは正当防衛の行為全般です。犬に吠えかかられると、身近な石を投げつけたり、竿があればそれで追い払うことは有り勝ちなことです。
 日本には既に自衛隊と言う軍隊があり、軍備もあります。何処かの国から吠えかけられると、当然に自衛隊が出動し、兵器が使用されます。
 結果として先方にも日本にも怪我人や死者が出ます。仏教の教えからすれば軍備や軍隊の維持は反対なのですが現実的ではありません。汝の敵を愛せよと説くキリスト教国の多くが軍隊を保有する矛盾と同じかも知れません。
 防衛庁が防衛省に昇格して防衛大臣が実現する可能性の中で、日本はアメリカの核の傘の中にいて日米安保条約を締結して五十年、果たして、仏教の説く不殺生の国である日本が現在のままで良いか私には良く分かりません。
 現実に自衛隊はイラクに出ていて、しかも絶対安全とは思えません。自衛隊の鉄砲は発砲されたという記憶は有りません。この問題について合理的に説明できる人は教えてください。
 私は、政治的問題として死刑制度や自衛隊を考えていません。仏教徒として考えてみただけです。自分の住んでいる日本のアジアに於ける存在について心配しているだけです。
 北朝鮮のミサイルと核武装の可能性は怖いですね。中国もインドもパキスタンも怖いと思います。総理が靖国神社に戦没者慰霊のために参拝されたことが原因となって、韓国や中国との外交が冷えていますが、例えば靖国参拝を止めて日本も普通の国のように軍隊を保持し、核で武装し、最先端の技術で最先端の武装をすると表明されたら現在の外交が如何になるでしょうか。
 私は仏教徒として強く平和を求める温和な僧侶ですが、近隣諸国の日本に対する懲罰的外交態度を見ていると、日本人の心の中にある何らかの共通した自尊心のようなものを感じるのです。極めて穏健な僧侶すら、日本の屈辱的外交に心が動くのですから、私の深層心理の中に富国強兵のような願望が潜んでいるかも知れないと恐れを感じています。正直な話です。
 ある意味では、私は高度に言語を操れる人間の部類に入りますが、現在の政治や国家についての宗教家の発言を殆ど聞きません。
 このように僧侶たちが沈黙を続ける理由は何でしょうか。
 多くの寺の信徒の信仰心は薄くなり、郷里の寺を捨てて都会に移住する傾向で、寺院の数は減り続け、各宗門の財政は日本の将来を暗示するものがあります。宗門の運営する学校は少子高齢化の影響で存続が危ぶまれ、多くの関係者は思案にくれています。

日本の経済は破綻に向っています
リアルタイム財政赤字カウンター

 この原稿を書き始めた平成十八年一月六日七時丁度の日本の債務残高は千三十四兆九千七百八十五億円でした。翌朝の六時には、千四十一兆四千七百九十四億円 ▼国民一人当たりすると六百万円。
 国民の借金に当たる債務は一夜にして一兆六百五十億円の増加です。
 国家財政は、昨年は支出全体の三十四%です。百万円の支出をする家庭の収入が三十四万円、こんな家庭が成り立つはずもありません。
 現在月額三十万の所得のある人が二十五年のローンで自宅マンションを購入していると、近い将来は定率減税も廃止されます。消費税は十五パーセントから二十%にもなることも先進福祉国家の例を見れば予測できます。ローンが払い続けられるでしょうか。
■国家財政の破綻は、家計を直撃することもあると考えて置く方が無難です。

 もう一つの問題は企業に二極化です。経営者が自分の財産を処分したりして会社を支えられれば良いのですが、それには限界があります。破産したり、民事再生法の適用を受けたり、他の会社に買収されたりして、貴方の職場や月給も安全とは言えません。
 反面では、世界をリードするような技術を有する企業は世界列強の会社に伍して高給与を払ってくれるでしょう。
 日本の国債発行高は沢山の国家の中で最高に近い水準にあります。
 国家の経済的破綻の仕方は複雑で、日本の国が何処かに売り飛ばされるというようなことはありません。
 国家の経済的破綻は国家の消滅ではありません。何処かの国家との併合でもありません。ただヨーロッパの欧州連合のように、共通通貨の発行とか、共通の代表を出すなどの政治経済の変化は考えておくべきでしょう。
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 不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不綺語、不悪口、不両舌、不慳貪、不瞋恚
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