み仏さまにお供えするお花の選び方

四月は春爛漫、桜をはじめ花々が咲き匂い、お釈迦さまのご降誕をお祝いする「花まつり」が厳かに行われます。観音院ではおかげさまで、春夏秋冬、年中、美しい供花が絶えることがありません。

■み仏さまにお供えする花についてよくご質問を受けますが■
 供養する花は、昔から言われていることに、匂いの悪い花やトゲのある花は駄目とか、言われます。
 美しい薔薇は供花にされるようになり、故人も好きな方が多く、真っ赤な薔薇でも歓迎です。近年、薔薇は、み仏さまに相応しいと思われる方が多く、故人の好きだった花色、もちろん白い薔薇も歓迎、青や黒い薔薇が供養されば、微笑み喜ばれるかもしれませんね。
 ただし水換えや後で掃除をする人が怪我をしないように茎のトゲはきれいに除いておいてくださるほうが望ましく嬉しいです。
 百合の花はオシベの花粉を除いて供えます。あの花粉は着きやすく、参拝の方の衣服の繊維が染まり、色が落ち難いので困ります。
手指などに着いてもなかなか色が落ちませんので気をつけます。
 白い菊の花、清潔で香りも良く、清雅でおくゆかしい日本らしい花です。近年、ご葬儀の飾りつけに多用されて、お別れのイメージが強くなり過ぎましたが、ごく自然に供花として捧げられてください。
 胡蝶蘭なんかはとても素晴らしいと思います。あのような華美な花なら一本で、み仏さまのご宝前やご仏壇が明るくなります。
 鉢植えでもけっこうです。手入れが簡単で豪華で長持ちをします。
鉢植えの花で特に注意したいのが、土にいろいろと菌や虫が棲んでいたりします。お客さまには花粉アレルギーがある方もおられまして、いろいろと気を使います。
 お墓用として束ねて売っている花は少し味気がないです。花の形を自分でも整えて供養しましょう。
 枯れた花弁や枯れた葉、虫食いの葉は常に除いてお供えします。
 庭で丹精された花は長くもちます。最近は野辺の花、自然の花を摘むのも都会では難しいです。
 どちらかというと悪臭を放つ花や食虫植物などは珍しくても供えないでください。

■造花について 常花の供養■
 造花は古くからお供えされています。み仏さまにはおそらく仏像が造像されると同時に造られ供養されたのではないかと想像します。
 み仏さまの多くは、蓮台(れんだい)の上に乗っておられます。
 み仏さまの脇に飾られるお花は「常花(じょうか)」といいます。
 多くは蓮(はす)の花や葉で、蕾、半開き、開花、蓮の実をもつ花など、仏を荘厳し、仏の教えを象徴的にあらわしています。
 木製の彫刻にに金箔を施したものや、彩色の木蓮華があります。
精巧で優美な牡丹の常花は豪華でさらに高価なものですが、これらは大変な美術品で岩絵の具で彩色されていて、華麗に荘厳することに重点がおかれています。素手でさわらないようにしましょう。
 皆さまがお供えくださる四季の花々のほかに、観音院では高野山から高野槙(こうやまき)を取り寄せてお供えしています。
 高野槙は高野山の御廟の参道の周囲のお墓にも沢山供えられていて、お土産にもなって売られています。水を絶やさないようにすると、緑が美しく、とても長持ちする有り難いお供えです。
 供花は、生花が良いか造花のお供えが良いかの、可否については、考え方としては、み仏さまが「蓮台」に乗っておられるから可、と申しあげましたが、造花であっても手入れ良く、み仏さまに親しく礼拝(らいはい)して、信心の真を尽くすことが大切です。
 造花でも、花を愛で、花の姿を整え、埃が乗らないように日常の細やかな「気遣い」も供養です。
 供花の目的は、追弔(ついちょう)と、自らの贖罪や積善のため、み仏さまの荘厳と報恩感謝の善行、葬儀の際の供花は、死者に対する敬意や感謝、親戚付き合い、会社関係の弔意を表すもの、色々です。
 み仏さまは、その時々のもので、真心を喜んでくださるでしょう。
 法事や葬儀などは本当はどのようにして欲しいのか、本人の遺言があると良いと常々思っています。
 花の徳は「忍辱(にんにく)」を示しています。自然などの過酷な境遇を耐え忍んだ上品な精神をたもつことを意味し、あらゆることに忍耐できる広い心をいただくことができます。