最近は万倍稲荷さまも大変

最近の観音院の「万倍稲荷さん」は多忙を極めておられる。今日中にパチンコで十万円ほど勝たねばならない、宜しくとか。沢山魚を釣りたい。宝くじが当たるように、当たりましたから御礼参りと、お坊さんが真っ赤になりそうなご祈願がいっぱい。そんな都合の良い祈願が、叶えられるはずが無いと思うのですが、万倍さまのご利益(りやく)は さっぱり分かりません。本来なら「世のため人のため尽くしたいので」と言う条件付で 信徒さんの福徳知恵を万倍にしてくださる薬師如来を本地(ほんじ)とする極めて倫理性の高い み仏さまであられるのが、どうしてこんなに個人的現世利益を叶えられるのか不思議です。

この世は災難に満ちている
厄除けも現世利益そのもの
しないよりはしたほうが安心

 災難を、火難、水難、羅刹難、王難、鬼難、枷鎖(かさ)難、怨賊(おんぞく)難をまとめて「七難」といいます。
人衆疾疫難、他国侵逼難、自界反逆難、星宿変怪難、日月薄蝕難、非時風雨難、過時不雨難は、相当 不気味な七難。
 日月失度難、星宿失度難、災火難、雨水難、悪風難、亢陽難、悪賊難、これらは主として自然災害。

 経典によって七難もいろいろ用意してありますけど、全部無いほうが良いと思っております。「色が白いは七難隠す」はまた違う意味ですね。
 出て行って帰らない難、地震難、落選難、不合格難、家族不和難。
 生老病死に、哀別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五陰成苦の「四苦八苦」は卒業したようです。
 苦心、苦学、苦言は、大切だけど、苦汁は飲みたくないですね。良薬は口に苦し、は本当でしょうか。

 私は極めて単純で、みなさまと同じように痛いのは嫌、なるべく痛くないように過ごしております。
 痛いことに出会わないために十善戒の、不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不綺語、不悪口、不両舌、不慳貪、不瞋恚、不邪見を大切にしております。 
 ところで、家内安全・病気平癒・商売繁昌・交通安全・求子懐妊・安産祈願・無事成長・試験合格・手技上達・など、普通に願われることですから、もう、これは風俗習慣のようなものかも知れません。
 後生安楽の祈願などは大変に深刻で真面目な祈願です。
 これには深刻な問題を含んでいて、前生、今生、後生となるので、死生観(しせいかん)に関わる仏教の一大事なのです。どのような後生安楽を願っておられるのか考え込みます。

 後生安楽はしばしば、老後と誤解されています。ではなくて、死んでから後の来世のことです。
 来世は極楽往生と願われる人は極楽を良くご存知ではありません。
 よく死んだら、お花畑にいたという話がありますが、眉唾です。造花畑のあの世なら有り得ます。花畑は実が採れる時期には花弁はありません。蓮華畑も田植えまでです。世界の屋根であるチベットにビューと飛んで行く話も有りますが、実際にチベットに行って観光しましたが、住みたいような場所では絶対にありません。
 天国の存在も極楽同様に怪しい存在です。天文学が発達した現代で、天国を発見したらノーベル賞ものです。
 地獄の存在も怪しいですね。地質学が発達した現在、地球の中心部に向けて、あちこち掘っても、温泉か石油か石炭かガスが出るくらいです。
 極楽に往生することを願うよりも、この世で悪因を造って地獄に落ちるようなことをしない。伝説では人間世界の西方にあり極楽の入り口が有って、極楽の東門というそうです。
 かつて、女性は五障三従の身であるから、彼の地には女人はおわさずと、高僧が説いておられます。それで[変成男子(へんじょうなんし)の法]によってですよ、女性は男性に性転換し成仏し極楽往生すると説かれていました。
 この世で悪行をなした人や、人倫上許し難い間柄での色事をなしたる人は地獄や餓鬼道よりは少し上の禽獣の姿に生まれるそうです。
 極楽には動物や昆虫などもいない。黄金の蓮台に座した黄金の男性だけ。
こんなところに皆さんを往生させたくないですよ。あんまり可哀想。
 人間は善悪を問わず、人間界にしか往生できないのです。女性がいない極楽へ往生したい人はどうぞそちらへ。
 人間死んだら焼いて残るのは骨だけなんて寂し過ぎる。この世に生まれて来ます。だからこそ、来世にそなえて環境も大事にしたい、愛国心も生まれる。人間の霊魂というか魂魄というか、精霊というか、存在できて意味あるのは広い宇宙で地球だけです。
 私は、葬儀にあたり、現世に速やかに生まれ変わり、幸せに暮らせるように仏教道徳を説き引導を渡しています。不道徳や不都合がどこかありますか。

万倍稲荷さまも相当好い加減にご利益バラマキ
開運厄除・水子供養や先祖供養はご霊験がある

 私はね、頭痛、偏頭痛、目の奥痛いなんて経験がありません。発熱もしない、多分脳味噌が無いのだろう。
 幸せなことに、身体に痛い処が無い。悩みなんて何も無いよ。長生きしたいと思ってます。目下の課題は禁煙。ニコレットはもうきつくて役に立たない。
 この前、両国のパチンコへ行って、機械が壊れているかと思った。後ろに七段二列、右七段二列、合計二十八箱も出たよ。こんなの私には日常茶飯事だけど、一緒に行った信徒さんは物凄く喜ばれる。私は一時間パチンコ台に触れて、それだけで満足だけど、勝ってお金を貰いたいと欲がある人は大体駄目です。両国で勝ったのも幾ら勝ったか知らないし、そのお金がどうなったか記憶にありません。
 私の経験では、物事は欲深いと駄目になることが多いようですよ。私の手を握って万倍さまにお参りしてパチンコしに行って二十一万円も勝ったりして、少し私の運を下さいと、握手するくらいはそれほど負担でもないので、幾らでも運は上げます。
 だけど宝くじを三十万円も買うなんてことはなさらないでください。責任を感じるではないですか。握手した人が宝くじ当たるように祈願しますよ。
 こんなの怖い話で、それで百万円も当たったりすると困ります。
 それで七万円か御礼にお供えもって来て、こっから先は守秘義務の世界。
 もう、こんな話は止めましょうね。私は信徒さんを元気にしたい、住職も同じです。観音院は「元気になる寺」にしたいと、私は願っています。

 実は私にも手に負えない人間関係があります。奇妙なことですが、十二月十五日から正月十五日までに金銭の話をされる人は私にとっても寺にとっても厄病神です。家族・親族、信徒さんのいずれも例外はありません。
 ぶっつりと縁を切ります。み仏さまと全く縁の無い人です。私にはお年玉を差し上げる習慣もありません。私の運を悪くする人です。
 金銭貸借は運の悪くなる人間関係の因です。銀行が貸してくれない金銭は貸してはならないし、借りてもならないと考えておくと良いでしょう。
 親切は私の好きな言葉です。しかし能力を超えた親切は自分も相手も痛め、悪運となり時として自他を滅ぼします。
 運を悪くするのは簡単です。心あるものの生き物を傷付けて恨みをかえばよい、怨嗟の思いが人や民族や国家を破綻させます。人を悲しませること、人の心を傷付けること、人間に殴る蹴るの行為をすること、怪我させ、生命を絶つこと、唯一免れる殺傷は正当防衛とされるものだけです。

 非常に微妙なのが妊娠中絶、経済的な理由や、近親相姦の妊娠を中絶することが、怨嗟の輪の中に自分を落とし入れることがあると思います。倫理に抵触しない通常の妊娠、しないと思っていたら妊娠していた、結婚する気もない、相手が結婚する気が無い、、、
中絶の理由は幾らでもあります。
 妊娠三ヶ月以降、胎児は心臓の鼓動が確認され、やがて性別も明確になり、順調に出産に到れば、三年もあれば母親の回りを這い回り、親を困惑させたり、幼児語を話す子供さん。が、十分か二十分で中絶される。密室の中の罰せられることの無い残虐な殺人です。
 勿論、子供の親にとってはPTSDになって残り、苦悩の因となるのは明らかなことです。

 観音さまは三十三に身を変えて現世の皆さんの困難に際して、良い人間関係となってもらえます。この観音さまの救い、慈悲を頂くには、反省と亡くなられた生命の供養しかありません。
 生涯を全うされて逝かれたご精霊と水子さんの精霊のご供養は、はるかに水子さんのご供養が難しく思います。
 中絶したら、必ず丁重にご供養して上げることが必要です。
 一時、流行のように日本中で水子供養がなされましたが、現在ではご供養の法要を殆どなされていません。
 運が悪いと嘆きながら、物事は当然思うようにならない。生命の尊厳を犯した人も家庭も国家も決して良い結果は有り得ないでしょう。
 少子高齢化も経済的破綻も倫理道徳の乱れも、中絶は大きな原因です。
 シングルマザーでも良い、勇気を出して、出産育児を選択してください。
 その行為がもっと一般的になれば、もっと育児教育について容易になる社会的制度が用意されると思います。

 新生児数が死亡者数を下回ったですね。中絶によって自由で、かつ不幸の影を背負った多くの独身者、中絶により一人子乃至二人の豊かな経済生活と高学歴が用意されている。これは妄想と断じるべきです。
 一時的な余裕をもって作られた家庭計画で望むような子供が育ちましたでしょうか。甘やかされたり、過度の親の期待が掛けられた子供がどのように成長されたか、多くのご家庭で深刻な苦悩を抱えられている現実があります。
 私は、妊娠中絶が無くなるよう、できれば、中絶皆無を願いながら、中絶された水子さんのご供養を一生懸命に日々、朝十時と正午、午後二時の供養を三百六十五日、一日も欠かさず礼拝しています。中絶は止めて欲しい、万一中絶の経験があるなら、丁重な供養をなされることが、直面されている苦悩の解決につながります。