■教典(きょうてん)■
お教典は佛教だけでなく色々な宗教にありますが、今回お
話しする教典は正確には佛教の聖典(佛典・ぶってん)のこ
とです。
突然ですが、ここでクイズです。
佛教の教えを知る上で大切な教典ですが、お釈迦(しゃか)
さまはお教典を読まれたり、あげられたりしたことがあるで
しょうか?
正解は「いいえ」です。
では、どうして、何時(いつ)ごろ教典は出来たのでしょ
うか。
佛教の教典は数多くありますが、これらはお釈迦さまが、
弟子(でし)や衆生(しゅじょう・人々)の為に説かれた説
法(せっぽう)です。
お釈迦さまがご存命の頃は、お釈迦さま自身や直弟子たち
が法を説いて下さっていたので必要がなかったのです。
お釈迦さまのご入滅(にゅうめつ)の後も、しばらくは、
弟子から弟子へと口述(こうじゅつ)により伝えられていま
した。
しかし、年月を経るうちに段々と内容が定かではなくなっ
てきます。そこで、その教えを知る弟子たちが集まり数カ月、
あるいはそれ以上の年月をかけて、間違いはないかと確かめ
ながら編纂(へんさん)され、現在のお教典の基(もと)に
なるものが出来たのです。
お経(きょう)が「如是我門」で始まることが多いのは、
「私はこう聞いた」という意味で、普通「にょぜがもん」と
読まれますが、理趣経の始まりでは「じょしがぶん」と読み
ます。これは中国の言葉、漢音(かんおん)と呉音(ごおん)
の違いなのですが、この説明はまたの機会にいたしましょう。
■大般若転読法要■
般若心経が、般若経の中のお経であるのはご存じの方もい
らっしゃると思いますが、般若経は実はとても膨大な教典な
のです。
西遊記(さいゆうき)でお馴染みの、玄奘三蔵(げんじょ
うさんぞう)さまが中国に持ちかえられて十八年余りかかっ
て、やっと千三百三十五巻を訳されたとのこと。
大般若経六百巻はその半分ですが、それでも随分と長いお
経です。
観音院では紺赤それぞれ六百巻、合わせて千二百巻の転読
法要を毎月、第一日曜日の午前十時から執行しています。
大般若転読法要は「生涯に一度会えれば運が良い」という
ほど特別な功徳(くどく)ある法要です。
そのとても有り難い大般若会が毎月行われているのです。
毎月欠かさずお参りされている方も多くおられて、大変な功
徳を頂かれているわけで、本当に仏縁(ぶつえん)の厚い方
だと思います。
大般若会は、何方さまにも、皆さまお会い頂けます。この
善きご法縁(ほうえん)に是非一度お会いになり、良運を授
かりましょう。
■まことの道■
観音院の常用教典である「まことの道」は、法主(ほっす)
さまが現代の言葉で、私たちにも理解しやすいように書かれ
たものです。
「朝のことば」は毎日、声に出して読む習慣にされ、一日
の心掛けとされるとより良い縁を育みます。
また、ホームページは世界中からアクセスがあり、メール
も英語やフランス語を始めとして各国の言葉で送られてきて
います。「まことの道」を希望される方も多く、出来れば英
語版「まことの道」も作りたいとおっしゃっています。
■ご供養(くよう)の心■
先日のことですが、信徒さんからこのような質問をされま
した。
それは日頃から、朝夕にご佛壇(ぶつだん)にご挨拶され
ている小学生のお孫さんのことでした。
ある日、そのお孫さんがハンバーガーを買って帰られまし
た。
そして、それを食べる前にご佛前にお供えしてから自分が
食べたのですが、ハンバーガーには肉が入っているのでお供
えしてはいけないとは思うし、しかし、折角の子供の気持ち
を傷つけたくはないしと随分と悩まれたそうです。
皆さんもご存じのように佛教では、生臭物(なまぐさもの・
肉や魚)はお供えしない事になっています。
どのようにお答えしようかと迷いまして、法主さまにお尋
ねいたしましたら「自分が好きで買って来た物を、食べる前
に佛さまに一寸お供えしてから食べると言うのはとても良い
ことです」とおっしゃいました。難しく考える必要は無い、
気持ちの問題だと「一番大切なお客さまをお迎えする時には
どうするか、み佛さまには更にそれ以上に心を込めておもて
なしをすれば良い」と教えて頂きました。
法主さまも子供の頃、ご本尊さまの前に、お刺し身を一皿
お供えされたというお話を伺いました。
法主さまは、ご幼少の頃から、み佛さまが大好きでいらっ
しゃって、丁度、美味しそうなお魚があったので、是非、み
佛さまにも差し上げたいと思われたのだそうです。
ですから、お供えがハンバーガーでも良いのです。大事な
のは、お孫さんがみ佛さまをお慕いして大切に思う、思いや
りの心なのです。
但し、このお話は、肉や魚を進んでお供えしなさいという
意味ではありませんので、念のため。
■五月は先祖供養・有縁供養の月■
五月は法主さま、院主(いんじゅ)さまのご両親のご命日
(めいにち)にあたる月です。
法主さまは、ご自分のご両親や先祖、観音院の先師(せん
し)の為だけの供養にはされず、五月を壇信徒の皆さま方、
すべての方の「先祖供養、有縁(うえん・水子)供養の月」
とされました。
五月五日の大般若会に参拝されました皆さま全員に「先祖
供養、有縁供養の紙塔婆(かみとうば)」をお書き頂いてい
ます。
婚気(こんけ)と実家(じっか)のある方は両方の紙塔婆
を書かれてご供養をお願いされて下さい。
この日の紙塔婆には、ご供養料のお供えは要りません。法
主さまと院主さまが、お気持ちで拝(おが)んで下さいます。
日頃、先祖供養や有縁供養をされていない方には、この善
きご縁に会われ、ご供養のお願いをいたしましょう。