念珠の起源
念珠(ねんじゅ)は古代インドのバラモン教の法具に由来しています。東は佛教の念珠に、西はイスラム教に、そしてキリスト教のロザリオにと姿を変えて、多くの宗教に広く伝わりました。
佛教に取り入れられたのは、二~三世紀頃といわれ、お釈迦さまの時代には、まだ法具に入っていませんでした。日本には、聖徳太子の時代に伝来し、密教では古くから経典においても重要視され、鎌倉時代になると、一般の佛教信者にも礼拝用として広がりました。
念珠の形式
念珠の珠の数は幾つか種類がありますが、百八珠は百八煩悩(ぼんのう)、それを滅除(めつじょ)する百八智や金剛界百八尊を、五 十四珠は菩薩(ぼさつ)の五十四位を、二十七珠は二十七賢聖(げんじょう)を表しています。
念珠の珠は、親珠(おやだま)・子珠(こだま)・四天珠(してんしゅ)・浄明珠(じょうみょうしゅ)・記子(きし)・記子留(きしどめ)などで構成され、親珠には各々二本の房がついています。珠は色々な呼び名があり、浄明は佛の後を継ぐ者という意味から、弥勒(みろく)とも呼ばれます。
親珠から数えて、左右の七個目と二十一個目の子珠の次に四天と呼ばれる小珠があり、ご真言を七遍ないし二十一遍お唱えする目印にします。この時、四天は数えません。子珠を全部繰(く)れば百八遍お唱えしたことになります。記子まで用いれば一万八百遍まで数えることが出来ます。
念珠の珠(たま)
念珠の珠は、菩提樹の実などの種子、香木、天然石、珊瑚や真珠、ガラスなどで出来ています。
しかし、少しでも人より良いものを持ちたいと思って、あまり高価な宝石を用いるのは考えものです。本来、僧侶というものは慎み深いもの、質素を常とするものです。高価な物を持つことは、僧侶の道から外れることだと、法主さまは、おっしゃっています。
暮らしの中の念珠
念珠は、加持(かじ)の力を持っていて、心と身体を癒(いや)し、回復する働きがあります。
腹が立ったときは、ぐっと念珠を握りしめてみて下さい。不思議と怒りの念が鎮(しず)まり、心が落ち着いてくるのです。身体が痛むときには、痛みの箇所を念珠で摩(さす)ると楽になります。
若者にも人気の腕輪念珠は、言わば縮小版の念珠であり、お守りとして、いつも左手に肌身離さず身につけて、み佛のご加護を頂きたいという祈りが込められています。厄難に近づかず、身を慎み、自らを戒める誓いの標(しるし)でもあります。