厄除けの厄とは何だろうか

厄とは「苦しみ」、「わざわい」、「災難」のことをいいます。
 私たちが生きて行く上で「無常」と「生老病死」は避けられぬものとして受け止められれば、一人前です。観音院の鈴之僧正は新幹線に乗るときは、目的地に着くか、着いても遅れるか、運が悪いと、怪我するか死ぬと言われます。
 ベットの上でも、朝、目が覚めると生きているか、生きていても病院のベッドの上か、死んでいる。
 明日を語るな、明日をも知れぬ身であれば、と説かれる方でありますが、では、したい放題のことをしておられるかと言えば、そのようなことは全くありません。
 朝に夜に礼拝、出かける時に、帰られた時に礼拝しておられます。
何を祈念しておられるかとお聞きしますと「厄除けだよ」の一言。
 毎晩、寝る時には、朝すっきりと目が覚めるように。毎朝、今日一日が無事に過ごせますよう祈念しておられるのです。
 寺に出入りする時は、み仏さまにご挨拶、だから、「厄除け」は鈴之僧正にとって、とても大切なことなのです。
 鈴之僧正は大変に慎重です。外出される時は必ず一週間分の日常薬を持参、それにチタン製の杖をついておられますが、杖使いが上手で、暗い場所で先が一段低くなっていても大丈夫で転ばれません。
階段の時も滑り止め、手すりを持たれて、杖をつかれます、杖一本は三十六キロの体重を支えてくれるそうです。この慎重さが、法主さんの運の強さです。