仏壇・仏具・仏がん式仏壇

「仏具」や「仏壇」は広範囲に観察すると、尊敬する人が亡くな
られる、その教えや思い出、偲ぶ気持、死者の霊魂にたいする敬虔
(けいけん)な態度を表す全ての装飾品、死者の生活用品の全てが
該当するものです。霊魂の居られる生活の場所として考えられます。

 師と仰ぐ方、亡き家族など、親しい方が亡くなられると、さまざ
まな気持が起こります。頼る人が無くなった、教えを仰ぐ人が居な
くなった—-。しかし面影を偲び、心にとどめて、善きものを供養
し、たむけたい、何かを拠り所(よりどころ)にしたいと願います。

 また生前に大きな力を持っておられた人が亡くなると、死後に、
その霊魂が現世に災厄を及ぼすのでは無いかと考えた時に、霊魂な
鎮(しず)まってもらう、中世までそのような意味で沢山の神社が
建立されたのは、皆さんご存知の通りです。
 昔は、偉い人が政争に敗れて、地方に流されたり、陥れられたり
して不遇のうちに亡くなられる、そしてしばらくして地震が起きた
り疫病(えきびょう)が流行ると、鎮魂(ちんこん)のための社が
建てられました。代表的な例が学問の神様とされる天満宮です。
 鎮魂のために立派な社が建てられ、多くの神官や巫女(みこ)が
かしずいて、鎮魂を願い、礼拝したのです。
 結果として、天満宮に参拝して合格祈願をして、多くの絵馬が奉
納される、それも良いことです。

 このような事柄は仏教にもあって、高知市には藩主に弾圧された
お坊さんが憤死(ふんし)して、以来、今日では、このお坊さんの
精神力に合格を祈願する信仰も風習的に現在も残っています。

 日本人は亡くなられた人が偉大であれば、その精神力は死後も及
ぶと考える傾向があります。

 総じて大胆に言えば、人は、死後も霊魂が存在していて、現世に
影響を及ぼす、ご先祖さまに申し訳ないと思う気持ち、ご先祖さま
に見守りやご加護をお願いする考え方が顕著にあります。

 家におまつりする仏壇はご先祖の住処で、ご先祖と一緒に生活す
るという考え方は麗しい国民性です。
 お墓にご先祖の霊魂がおられるというのは仏教の教義とやや異と
にする部分がありますが、この点については、亡くなられた人々に
対する敬虔な考え方として、今後も墓地は存在し続けると考えるの
が自然でしょう。

 但し、周囲を睥睨(へいげい)するような巨大なお墓を建てるの
は子孫に大きな負担を残しますから、生前に自分の墓を建立するに
しても、亡くなられた後で、ご遺族が建てられるにしてもご一考あ
るべきです。
 死者の希望を叶えることも、敬虔に敬うことも大切ですが、ピラ
ミッドほどの墓を建てることを考える人はいなくなりました。これ
は建てるとしても保健所等の許認可が必要になると思います。

 観音院は皆さんの共同の死者を供養する場所です。大切に荘厳し
ていますが、伝統産業で作成それるものは高価で大変です。
 それによく困っておられるのが、昔の高価な大きな仏壇、何かの
理由で引き継ぐ場合に、置く場所が中々ありません。寺に預かって
欲しいと言われましても、ほとんど後日に引き取りに来られません。

 そこで、法主さんが最小の仏壇を考えられ、諸宗派に通じる釈迦
三尊をお祭りした「仏がん式仏壇」を考案されました。
 その材質は香料の白檀で立派なもので、三十二メガのUSB対応
のチップを入れると、パソコンで一軒の寺くらいの過去帳も記録で
きますし、お骨や遺品も少し入れることができます。
 縦横二十センチくらいの大きさで、自分の机の上やどんなに狭い
場所でもおまつりできて、大変に好評なようです。
 位牌の戒名などはレーザー彫刻機で彫ります。この機械は七百万
円もするもので、十二月半ばに設置されました。

 法主さんの持ち物も随分と近代化されました。カバンなど、どな
たが見ても一目瞭然、駅などの待ち合わせにとても好評で、粋だと
言われてます。
 法主さんの鞄は、昔なら頭陀袋(ずだぶくろ)、スーツには似合
いませんね。いつも使われる鞄には、名古屋の春日井仏具で、斜め
の2cmほどの線を金箔を張ってもらったもので、よく目立ちます。
ダンヒルさんもびっくり、かも。 (観自在編集部)