時間に余裕を持って ゆっくりお参りくださいませ


【寅さん】 住職さん、元号が改まって最初の夏越祈願に来るあたって、観音院のお参りの仕方を復習してみようと思うんですが。

【住職】 良いことだね。まず、観音院の前まで来たら、山門を入る前に、本堂に向かって手を合わせて一礼する。御佛さまにお参りする時は、合掌礼拝が基本だよ。

【寅さん】 はい。神様には手を打ち鳴らしてお参りするけど、御佛さまには、音を鳴らさずに合掌するだけで十分なんですね。

【住職】 そうだよ。次に、向かって右の地蔵堂に居られる日切地蔵さまにお参りする。

【寅さん】 この日切地蔵さまは、日数を決めてお参りすると願いが叶うとされていて「願掛け地蔵さま」として有名なんですよね。

【住職】 参拝日数は、二十一日や、七十五日、百八日など、吉祥の数を目安に決めていただくと良いね。お願いごとが大きくなるにつれて、お参りの日数も大きくお約束することになっているよ。

【寅さん】 別に日数を決めてなくても、お参りして良いんですよね。

【住職】 もちろんだよ。お参りする時は、まず合掌礼拝してから「この身この心を浄めていただきますように」と念じて、ひしゃくで水をすくって、静かにお地蔵様におかけする。その後ひしゃくを置いてから、合掌してお地蔵さまのご真言「おん かかかび さんまえいそわか」を七回お唱えするのが正式な方法だよ。

【寅さん】 私は、お地蔵さまに色々お願いしたいことがあって、長く拝んでいたら、後ろに行列が出来て慌てたことがありました。

【住職】 ひしゃくを置いた後は、左右のどちらかに寄れば、真ん中を空けることができて次の人もあまり待たずにお参りできるから、今度からはそうしたら良いよ。

【寅さん】 なるほど。日切地蔵さまの真ん中前でお願いしなくても、左右のどちらかに一歩か二歩移動してゆっくり拝めば良いんですね。

【住職】 もちろん。最後にもう一度、合掌礼拝して、日切地蔵さまへのお参りは終了だよ。

【寅さん】 日切地蔵さまのお次は、お向かいの大日堂ですね。ここは今、永代供養の納骨堂になっていて、法主様のご遺骨も納められているんですよね。

【住職】 ここには、諸仏諸菩薩全ての源になる、大日如来さまもお祀りしてあるからね。最初に合掌礼拝して、それから大日如来さまのご真言「おん あびらうんけん ばざら だと ばん」を七回お唱えして、最後に合掌礼拝すると良いね。

【寅さん】 はい。大日堂のお参りが済んだら、赤いお社の萬倍稲荷さまにお参りするんでしたね。信じる人の福徳知恵を萬倍にしてくださる神様で、商売繁昌、事業繁栄、学業成就にお力を発揮されるから、社会人にも学生さんにも人気なんでよね。

【住職】 萬倍稲荷さまは、薬師如来さまが神様の姿で現れたとされているので、病気平癒や、私たちが日常を暮らして行く上での諸々の苦しみを癒してくださるお力もあるんだよ。

【寅さん】 萬倍稲荷さまは神様だから、この赤いお社の前では、手を打ち鳴らしてお参りするんですよね。

【住職】 そうだよ。ここは説明文もあるから、あまり迷うことはないと思うけど一応説明しよう。まず二回お辞儀をして、次に二回手を打ち鳴らして、もう一度お辞儀する。
それから合掌して「世のため人のために尽くします。福徳知恵を萬倍にお導きくださいませ」と心に念じて、お願い事をご祈念して萬倍稲荷さまのご真言「まんばい」を七回お唱えする。そうして最後に一礼するんだ。

【寅さん】 ここも、お願い事のご祈念が長くなりそうだったら、正面を開けておく方が良いですね。

【住職】 それが良いね。その後は、萬倍稲荷さまのお向かいの七福神さまにお参りする。

【寅さん】 七福神さまのところにも、それぞれにご真言の説明文があるから、その通りに拝めば良いですね。

【住職】 七福神さまのお参りが済んだら、本堂正面のお賽銭箱前で、ご本尊さまを外から拝んでから、履き物を脱いで建物の中へ入る訳だ。

【寅さん】 ここでは何もお唱えしなくて良いんですか。

【住職】 観音院のご本尊さまは、大日如来さまだから、合掌礼拝してから「おん あびらうんけん ばざら だと ばん」を七回お唱えして、最後にもう一度合掌礼拝すると良いね。

【寅さん】 丁寧にお参りしようと思ったら、時間に余裕を持ってお参りするのが良いですね。

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