住職さんの法話(一)
葬儀は小規模でも丁重に 観音院では低廉に済ます工夫があります
【寅さん】 住職さん、院家さんの葬式は凄かったね。
【住職】 どこが凄かったかな?
【寅さん】 原爆で何も無くなってお寺を再建した院家さんの葬式だから、大きな花祭壇で派手にされるかと思ったら、会場こそ本堂を使われたけど、御身内と居合わせた人だけで小規模に、院家さんの遺志通りにされて。何でも出入りの葬儀社さんの提案で、家族葬の基本セットに生花を追加する形でされたんだって?
それでもきちんと荘厳されて、厳粛な良い葬式だったよねぇ。
【住職】 ああ、そのことか。今の観音院には協力してくれる葬儀社が三社あって、この三社は福祉葬並みの低廉な金額で家族葬を扱ってくれているんだ。
今回 院家さんの葬儀をする時に、私も他の寺で亡くなった時のように大きな花祭壇を頼もうかと迷ったんだよ。そうしたら葬儀社の人が「信徒さんには見栄を張らず小規模にしないと勧めるんだから、お寺さんだけが派手にしては言行不一致で良くないです」と言ってくれたんだ。だから、花祭壇は止めて、生花を少し追加した。
【寅さん】 へぇー、こりゃ驚いた。世間の葬儀社の中には、悲しみで通常の判断が出来ない状態の遺族に、誰も手を付けないような通夜振る舞いのオードブルを何皿も注文させたり、何かと儲けに走る会社があると聞いたことがあるけど、そこはすごく良心的ですね。
【住職】 同じ葬儀社で葬儀をされた信徒さんのご遺族にも好評だよ。最近協力してくれるようになった葬儀社だけど、これもよいご縁だな。
信徒さんの葬儀を観音院で行う場合は、別殿二階の椅子席の会場で、会葬者が十人程度なら家族葬の基本セットが約二十万円に別途消費税。うちが院家さんの寺葬をした時のように、伴車やマイクロバスが必要ならその料金は追加で掛かるし、生花は種類によっては高くなることもある。それでもお寺へのお布施は別として、葬儀社への支払いは、会葬者が十人程度なら三十万円もあれば十分じゃないかな。人数が増えれば当然予算も膨らむけどね。
【寅さん】 世間では、戒名をつけるだけで百万円要求するお寺さんもあるそうだが、観音院の信徒さんは百万円用意しておけば、観音院の別殿で葬儀をして葬儀社に支払いをして、残りはお寺に葬儀のお布施としてお供えが出来るな。