大般若転読法要は、来年の七月には四百座を超える
御護摩は、来年中には六万座を超える
観音院の鈴之僧正は、御護摩で顔を焼いている。私が年中無休で御護摩を焚こうとしたら、先代に「そのような事は絶対に不可能だからしてはいけない。」と言われ、実行するには先代の遷化するまで待たねばならなかった。
遷化されてから、日々護摩を焚くようになり、出来ぬことをするのであるから御護摩もご霊験もあって不思議ではない。
観音院の弟子になるには般若心経一日千巻読誦百日間が前行としてある。
鈴之僧正が、この前行を難なく通過したのは、当然でもあるし、当然でない。
この前行は、極めて現代離れしていてよく通過したものだと感心している。
この前行は、絶対的に通過しなくても弟子にはする。それは、般若心経一日千巻読誦百日間をやり遂げる人は、根性も体力も信仰心も極めて優れているからだ。
言い換えれば、私を師匠として般若心経一日千巻読誦百日間を満行出来た人は、それ自体が有り難い。余程、御仏の御縁が深く稀にみる法体(ほったい)である。 このような法体に出会えた事は、わたくしにとって無常の喜びである。何人もの人が挑戦したが、一週間もすれば死にそうになる。
親が僧侶で子どもが僧侶になるというのが世間の寺院の後継者の作り方である。
私融通無碍も鈴之僧正も、子どもに恵まれない。このようにして弟子を育てるのは、現実に当てはまらない。只ならない何かが起きて、観音院の住職が定まるだろう。
私は深く鈴之僧正を尊崇し、良い人に恵まれたと、朝夕御仏様に御礼を申し上げている。
どうしてこのような事が起きたか、よくよく思案を巡らせても何も理由が見つからない。それでよい。
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