台風十一号は凄まじい被害を 未曾有の豪雨をもたらしました

【院家さん】 梅雨が明けて天気が良くなるかと期待していたけど、こんな暑さは八十一年生きて来て初めてだ暑いのう。

【寅さん】 いやあ、暑うがんす。道路で温度を計ったら四十度有りましたよ。車の屋根で目玉焼きが出来そうだ。

【院家さん】 本当に目玉焼きをこしらえたのか、試しに一つ作ってみてくれ。

【寅さん】 見てください。焦げてはいないけど立派な卵焼きですよ。

【院家さん】 なるほどのう、話には聞いていたけどちゃんと出来ているな。こんなに暑くて冷房無しでは過ごせないな。

【寅さん】 暑いと思っていたら台風十一号で梅雨に逆戻りした感じ。高知県の方では一日で千ミリの雨が降ったそうだ。お遍路さんは難儀をしているたろう。
こんな事は過去には無かった。

【院家さん】 川土手の工事をしたり、家を建てたりする時は過去の統計を大切にして来た。五十年に一度とか、百年に一度の大雨の記録が何の役にも立たない。

さりとてこれから先どれぐらいの大雨が降るか予想が立てられない。建物や川の岸は別として鉄道の線路の高さや、原子力発電所の防波堤の高さ等は今までの経験則で作っては役に立たない。想像される被害の倍くらいの高さが必要になるだろう。

【寅さん】 そうは言ってもお役所のする事は過去の経験に基づいて多分大丈夫だと言うような線でやっておるのではないかな。

【院家さん】 観音院は大正時代の洪水の水の来た高さを参考にして、それより少し高くしてある。せめてもう一メートル高くしておけば良かった。千ミリの雨が降って例え一メートル五十センチの浸水でも佛さまをお祀りしてある須弥壇は浸水しないようにしてある。