■六種供養(ろくしゅくよう)■
私たちは、み佛(ほとけ)さまやご先祖さまを礼拝、ご供養するときにお供え物をします。
お供物(くもつ)の種類は数多くありますが、閼伽(あか)・華鬘(けまん)・焼香(しょうこう)・飲食(おんじき)・燈明(とうみょう)の五供(ごく)がよく知られているところです。
また、密教では塗香(ずこう)を含めて六種供養といいます。
閼伽は水、塗香は心身を清める為に体に塗る粉末のお香、華鬘は花、焼香はお線香や抹香(まっこう)、飲食はご佛飯や霊具膳(れいぐぜん)、燈明はローソクです。
これらのお供物はそれぞれ意味を持ち、順に六波羅密(ろくはらみつ)の布施(ふせ)・持戒(じかい)・忍辱(にんにく)・精進(しょうじん)・禅定(ぜんじょう)・智慧(ちえ)を表します。
■五具足(ごぐそく)■
佛具はみ佛さまをお祀りし、礼拝するためのお道具のことです。
その数はお飾(かざ)りを含めると、数千種にのぼるといわれます。
佛具の中でもお供えをする為の器を供具(くぐ)といいます。
香炉(こうろ)、花瓶(けびょう・花立て)、燭台(しょくだい・ローソク立て)の三種が基本です。
花瓶と燭台は左右一対で、全部合わせると五基となり、これを「五具足」といいます。
五具足は左右とも外側が花瓶、内側が燭台、中央が香炉になります。三つ足のものは足の一本が手前にくるように、耳のあるものは耳が左右を向くように置きます。ご家庭のお佛壇が小さい場合などは、香炉・花瓶・燭台がそれぞれ一つずつの「三具足(みつぐそく)」でも構いません。
三具足は向かって右に燭台、左に花瓶、中央に香炉を置きます。
但し、ご法事などの正式なご法要では「五具足」を用いますので後々を考えると対(つい)の物は、あらかじめ揃(そろ)いでお求めになっておかれると安心です。
■佛壇(ぶつだん)■
み佛さまをお祀(まつ)りする御堂(みどう)を「厨子(ずし)」といいます。
佛壇(ぶつだん)は宮殿(ぐうでん)型のお厨子で、お寺の本堂と同じように須弥壇(しゅみだん)を中心とし荘厳されたものです。
須弥壇は佛さまの宇宙、真理世界である須弥山(しゅみせん)をかたどったもので、ご本尊さまはこの上にお祀りされます。
家庭でお佛壇をお祀りするようになったのは「日本書紀」に、七世紀の終わり頃、天武天皇が「諸国家ごとに佛舍(ぶっしゃ)を作り、佛像及び経を置き、以(もっ)て礼拝(らいはい)供養せよ」と言われたことに始まりとされると伝えられています。佛舍は現在の佛壇にあたります。
昔の家にはお佛壇をお祀りする佛間(ぶつま)とよばれる特別な部屋がありましたが、現代ではご家族の集まられる居間にお祀りされているご家庭が多いようです。
■三尊佛龕(さんぞんぶつがん)■
佛龕は携帯用のミニ佛壇です。
本来は僧侶が旅先に持ち歩き、何時でも礼拝出来るように工夫されたものと思われます。
法主(ほっす)さまが考えられた三尊の佛龕「佛龕式永代供養壇」は下部に蓮台(れんだい)を付けて遺品や教典を納めることが出来るようになっています。
小さいお部屋でもお祀り出来るように、高さが二十四センチ、幅が二十センチ、扉を閉じれば十四センチの小型のものです。
しかし、その手彫り細工は見事なもので内部の諸佛諸菩薩(しょぶつしょぼさつ)は細かな表情まで丁寧に彫刻されていて、まさに本堂と同じといえるでしょう。
この「佛龕」は三尊舎利塔、礼牌塔、佛壇(位牌・遺骨・遺言・系図・供養之証)、小本堂のすべてを兼ねています。
観自在の二月号でご紹介して依頼、お問い合わせが絶えません。
今まではみ佛さまをお祀りしたくても部屋が狭くて無理だったのでとか、佛壇は有るけれど自分の部屋にもみ佛さまをお祀りしたいといわれる方など様々です。
お仕事で世界中を飛び回っておられる方から、旅先の仮住まいにもお祀り出来る佛龕を是非にもとのお願いもありまして、思わぬ反響の驚きと同時に、多くの皆さま方が心からみ佛さまをお慕いされているのを改めて知らされた訳で本当に嬉しい限りです。