光然の高野山修行日記 ・十二 前半

七月二十四日に一学期の終業式が行われ、お盆の手伝いを兼ねた修業、二学期から始まる加行の準備・・・・。

などの建前を含んだ一ヶ月の夏休みが始まります。

しかし、テストが無事に終わっても四か月過ごした学院を何もせず離れる事は出来ません。

というわけで今回は、自室の整理を含め、院内の大掃除についてお話いたします。

まずは自室の整理について。

例え二学期に戻って来ると言っても、部屋に最初から備え付けてあった机とカーテン以外は、外から決して見えないよう納めよと、徹底した指示が入ります。

家族に車で迎えに来てもらえる者は布団や荷物を気軽に持ち帰れますが、誰もがそれを出来る訳ではありません。

二学期に入ってからも学院生活で必要な物は置いて帰りたいと考えるのが人情と言うもの。

布団一式と共に、入学当初の雪がちらつく三月から、動けば汗ばむ七月までをいっくるめた着替えや日用品、教科書類に学院から貸し出されている華道道具などを、押し入れに押し込まなければいけません。

男二人とはいえ、それなりの荷物の量です。共有している押し入れ一つに収納するため、持ち込んでいた大きな段ボール箱を潰し、食堂から食材などを納めていた丁度良いサイズの段ボール箱を頂戴して行きます。

不要品を送り出す段ボールとしても活用できるので、熾烈な段ボールの入手合戦が陰ながら進行していたのも良い思い出と言えます。

また室内の掃除も蛍光灯カバーや窓ガラス、自室廊下の窓を含めた清掃も忘れず行わねばなりません。

ここで窓の水垢、鴨居に埃を残す手ぬるい掃除をしていたために、帰宅の許可をすぐに貰えなかった者もいくらが出て来たそうです。

それでも大半の生徒は終業式一週間ほど前になると、そわそわしながら普段ならお茶を飲んでいるような空いた時間にも、荷物の整理、掃除機かけ等少しずつ帰宅するための準備を進めて行ったのです。