【院家さん】 寅さんや、スイカの上等のか上がっとるで。二人で食べようよ。
【寅さん】 え、半分に割るんですか。二人で仲良く掬って食べるって院家さんも豪快なことを考えるなあ。
【院家さん】 バリバリバリッと掬って大きな塊を口いっぱいに頬張るなんで、幸せだなぁ。
【寅さん】 今まで何べんもスイカは食べたけど、真半分に切って二人で食べるなんてこれが初めてだ。大きな塊が取れるなぁ。
【院家さん】 大分腹が太くなってきたなぁ。
【寅さん】 わしも腹が太くなった。まだ半分まて行ってないよ。
【院家さん】 もう種も吐き出す暇もないな。
【寅さん】 うんだ。種、横っちょうに投げておこう。頑張るもんね。
【院家さん】 他人から見たら豪勢に見えるはずだよ。
【寅さん】 どうやら底が見えだしたけど、中々全部は食べれんで。
【院家さん】 遠慮するなよ。良かったら、もう半分ある。
【寅さん】 いやあ、スイカは堪能したけえ、もうよがんす。
【院家さん】 残りのスイカは冷蔵庫に入れて、誰かと同じようなことをやってみよう。
【寅さん】 わしはスイカが相当好きだったけど、今年はもう食いたくないね。
【院家さん】 人間は気ままなものだなぁ。あればあってもう要らんと言うし、無ければ無くて欲しがるものだなぁ。
【寅さん】 いやあ、ほんまでがんすのう。
【院家さん】 わしも、当分、スイカは遠慮しておきたいけど、もう半分残ってる。
【寅さん】 この二、三日、法主さんの所へ遊びに来た人は、スイカを腹いっぱい食べさせられると思ったら楽しくって仕方が無いな。次の幸せ者は誰だ。