十二月八日はお釈迦(しゃか)さまが悟(さと)りを得られた日
といわれ、毎年、成道会(じょうどうえ)のご法要が行われます。
四門出遊(しもん しゅつゆう)
釈迦族の王子の頃のお釈迦さまは十七才で結婚され、お子さまも
生まれ、季節ごとの三つの宮殿を持ち、宴が開かれ何不自由なく過
ごされていました。が、この世のはかなさに心を傷めていました。
ある日、東の門から城の外に出掛けられた王子は、老人を見まし
た。日を変えて南の門から出ると病人を、西の門から出ると死人を
見ました。人間は生きている限り、老い、病気になり、やがて死ぬこ
と、それらから逃れることの出来ないことを知りました。
最後に、北の門から出ると、一人の修行僧に会いました。出家し
修行することに、自分の将来を、進むべき道を知りました。
ついに、出家の決意をされ、愛馬カンタカに乗り城を出て行かれ
たのは二十九才の時でした。
お釈迦さまは、最初に当時有名だった仙人から教えを授かろうと
されましたが、何れも全て僅かの間に到達してしまわれました。
そこで、修行者たちが多く集まる森に行き、一人修行に入られま
した。そこは、インドで盛んな修行法は、いわゆる苦行で、遂には
断食(だんじき)までされました。
城を出て六年が経ちました。生きているのが不思議な程に、皮の
上から骨がつかめるくらいに痩せ細ってしまいましたが、悟りには
至りませんでした。
それにより苦行では悟りは開けないということが分かりました。
お釈迦さまは、衰えた体に耐えて、河に入り身を清められました。
やっとのことで岸に上がられると丁度、そこを村娘が通りかかり、
持っていた乳粥(ちちがゆ)を差し上げると、食されました。それ
は、久しぶりの食事でした。
降魔成道(ごうま じょうどう)
乳粥のお蔭で元気を取り戻されたお釈迦さまは、河の対岸のブッ
タガヤーの大きな樹の下に座り禅定(ぜんじょう・瞑想)を始めら
れました。そして、悟りを得るまでは決してここを立たないと固く
決意されました。
今、まさに悟りに到達しようとしている者のあることを知った魔
王は自分の三人の娘や、大群を繰り出して邪魔をしましたが、お釈
迦さまは一切動じませんでした。
魔王は敗退したのです。しかし、魔王の攻撃は、それまでの六年間
も、悟りを得られてからも続いたともいわれています。
邪魔者が居なくなり、爽やかな瞑想の中で、お釈迦さまは、つい
に、現世(げんせ・この世)で初めて悟りを開いた人、仏陀(ぶっ
だ)となられました。
それ以来、この樹を悟りを開くという意味から、菩提樹(ぼだい
じゅ)と呼ぶようになり悟りの象徴の聖樹とされています。
梵天勧請(ぼんてん かんじょう)
悟りを得られたお釈迦さまは、しばらくの間、一人で悟りの世界
を楽しんでいました。それを、天界から梵天さまがご覧になってい
て、他の人々にも教えを説くよう勧められましたが、人々には到底
理解出来ないと断られ、三度目にやっと承知されました。
初転法輪(しょてんぼうりん)
最初に向かったのは、サルナート、鹿野苑(ろくやおん)でした。
そこには、王が王子の見張りの為に遣わせた者で、やがて修行に
入った五人の仲間がいました。五人は、苦行を捨てたお釈迦さまを
見限ってここに来たのでした。
お釈迦さまは、説法をされ、五人も悟りに至ることが出来ました。
そして、最初の弟子となりました。
掃除は心を込めて丁寧に
ところで、お釈迦さまの弟子は皆が優秀であったかというと、そ
うでは有りません。中でも、チューダパンタカは最も愚か者といわ
れ、仲間たちに修行を諦めるよう言われて、去ろうとしたのです。
家に帰りかけた彼の前に、お釈迦さまが立たれて、布を一枚渡し
て、おっしゃいました。
「今日から毎日、ここに来られた人々の履物を、この布で綺麗にし
て差し上げなさい。
そして、言うのです『祓(はら)いたまえ、清めたまえ』と。」
その日からチュータパンタカは毎日、履物を掃除しました。来る
日も来る日も。ある日、彼は思いました。「祓い清めるのは履物で
は無く、人の心ではないのか。」 そして、ついにチュータパンタ
カも悟りに至ったのです。
たかが掃除、されど掃除です。私たちも自身を振り返ったとき、
四角い部屋を丸く掃いたりしていませんか。トイレは綺麗ですか。
日頃の掃除はもちろんですが、これから年末の大掃除をされるご
家庭も多いと思います。普段、手入れの行き届かない所も、丁寧に
心を込めて掃除をしましょう。
整理整頓された、掃除の行き届いた部屋には窓を開けて、良風と
良運を招き入れましょう。
観音院でも毎年十二月は年末大掃除が行われます。今年は二十三
日です。掃除は信徒さまのご奉仕により行われています。皆さまも
是非、ご参加下さい。そして、ご一緒に心の掃除も致しましょう。
今年を無事に越せるように
今年も残すところ後一ヶ月。一年の経つのは早いものです。
観音院では毎年十二月一日から、翌年の開運厄除のご祈願を拝ませ
て頂いております。
十二月にお参りの方は、開運厄除や家族祈願とともに、護摩木で
「年越し祈願」をお願いされる方が多いようです。
正式には百八支(本)の護摩木に家族や親族、友人などのお名前
を書かれてお願いします。
また、吉祥数の七十五支や二十一支、五十支など、一人一支から
何支でもお気持ちの数を、好きなだけお願いすることが出来ます。
十二月から節分の頃までの間が、運気が大きく変わる時期にあたり
ますので、来年の厄除けや祈願は早めに済ませて、安心して良き年
を迎えたいものです。
ご案内
お釈迦さまは菩提樹の下で悟りを開かれました。十二月八日(日)
の「成道会」にお参りの皆さまに、各家のご繁栄と、入試合格・
精神集中・学業成就を拝み込んだ「菩提樹の葉」を差し上げます。
大晦日(おおみそか)の年越し法要は、除夜の鐘の後、法主さまの
新年のご法話を頂きます。引き続きまして、新年第一座の「大般若
転読法要」が執行されます。ご家族皆さまでお参り下さい。