【寅さん】 九月十九日未明の安全保障法の強行採決をテレビで見て居られた院家さんが、怒って心臓がバクバクして死にかけて救急車を呼んだってな。何を怒ったの。
【院家さん】 戦争をしない平和国家だと思っていたのに、戦争が出来る普通の国になろうと法案を出しながら、「戦争しない平和国家のままですよ」とごまかして強行採決をするのを見て、近隣諸国からの昔の日本に先祖返りしたと思われると、これで日本はもう駄目だと思ったら怒りすぎて心臓が止まりかけた。
【寅さん】 何があっても院家さんの心は平穏に判断されると思ってたけど、院家さんが怒って心臓が止まりかけるなんて、思う以上にに激しいなあ。
【院家さん】 憲法九条をなし崩しに壊して、色々な憲法違反のことをやっているけど、今般の強行採決で極まつたと思ってね。
【寅さん】 今回の強行採決は、院家さんの心臓を止めるほどの破壊力があったのだな。そんなにいけないことか。
【院家さん】 最悪だな。野党の反対も、摺り足でとても見苦しかった。こんな人たちに日本の将来を決める大切な法案が強行採決されるなんて日本も【もう終わり】だなと逝きかけた。
【寅さん】 礼華さんがずっと付き添って献身的な介護を尽くされた。院家さんも逝くに逝けなかったのだろう。
【院家さん】 そうだ。礼華の悲痛な思いと、信徒さんの将来のことが心配でならない。自分が立腹したくらいで、この日本愛想を尽かし、一人この世を抜け出すのはいけないと赤い紐と信徒さんの思いが私をこの世にとどめた。
【寅さん】 有り難いことだな。百歳までも、百五十歳までも生きていてね。