院家さん(=法主様)、住職さんの夢枕に登場 「元気を出して、しっかりせい」

院家さん(=法主様)、住職さんの夢枕に登場 「元気を出して、しっかりせい」

【寅さん】 住職さん、院家さんがこの一月に逝ってしまわれてお寂しゅうなりましたなぁ。

【住職】 寅さん、そう言うてくれて有難いよ。院家さんは生前に「自分の葬儀は居合わせた者だけで静かに見送ってくれ、御香典は辞退するように」と言っておられたから、後で知ってお参りに来られた方
たちにも「お気持ちだけ有り難く」と断りを言ったが、なかなか行き届いた挨拶も出来なくてね。

【寅さん】 そりゃあ、それが当たり前のことでがんすよ。住職さんだって人間じゃ。檀信徒さんのご葬儀は僧侶としてきちっとお勤めなさるが、院家さんと住職さんは三十年以上一つ屋根の下で、兄弟仲よく
一緒にこの観音院を盛り立てて来なさったんじゃもの。院家さんの遺志を尊重したら、皆さんにお知らせせずに葬式をしたり、御香典を断ったりすることになった訳だが、その時の断りの口上が気に入らんと
怒る人はおられんでしよう。住職さんも辛いんだなぁと、お参りに来られた信徒さんは察して下さってると思いますよ。

【住職】 有難う寅さん。そう言えば、昨夜私の枕元に院家さんが出てきてね。大体こんな風に言われたよ。

【院家さん】 ワシは体力が持たんで逝ってしもうたがな、大般若会で皆に約束した通り、皆を極楽へ往生させるために、魂魄をこの世にとどめて、本堂の燈籠の上から見ているからのう。ワシがおらんようになったからと気の抜けたようなことをするなよ。
毎日三座、真面目に拝み、皆さんにしっかり元気をお持ち帰りいただくように。住職、元気を出して、しっかりせい。

【寅さん】 さすが、院家さん、今も観音院の本堂で皆を見守っておられるんだな。

月刊 観自在 平成28年3月号より

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