防災に考慮されていなかった仏具

仏壇仏具は華麗であり、尊厳でもありますが、「防災」の観点からすると残念ですが落第です。
 良い蝋燭は崩れずに完全に燃えきるものですが、時として芯が燃えきらずに溶けた蝋燭の池に落ちて、芯を二本にしたようなものですから、灯すというより燃やすような状態になります。
 燭台相応の蝋燭のサイズを選ぶことはとても大切なことです。蝋燭も少なくとも一箱は使い切って良ければ同じ品物を購入するよう心がけて下さい。
 何ヶ寺かは、蝋燭の不始末で、住む家も火災になります。
火のついた折れた線香も大変に危険です。万一、畳と畳の間に落ちると、ここには「もぐさ」のような、埃のようなゴミがあって、畳の下の方を火が伝わって行きます。畳が燃え上がって気がつく火事で、仏壇は粗略にしないように、火の用心が大切です。
 お寺の構造で危ないのは本堂床下です。通常の床下より高いですから、出入りが出来ますと、浮浪者が住み着く場合があります。優しい住職さんだと居住を認められる場合もあります。
 寒くなりますと焚き火をされて、その不始末で本堂全焼なんて本当の話でこれは住職さんの管理不十分です。
 仏壇のお蝋燭はマッチやライターで着火する儀礼を捨てて、電池式の蝋燭灯が市販されていますので買い換えらると良いと思います。
 地鳴りがするような地震が来ると、蝋燭立ては火がついた蝋燭もろとも天井に突き刺さるくらい飛び上がります。
 阪神淡路大震災の時に冷蔵庫が飛び上がって、天井に四角い穴が開いたそうです。地震は何時起きるか見当がつきません。通夜の最中でも葬儀の最中でも、普通の礼拝中でも、一mくらいは飛び上がる心得と覚悟が必要です。
 礎石は動くものなのです。須弥壇も仏壇も墓石も動きます。揺すってみて大丈夫かどうか、その程度では、全く信頼出来ません。不動の物は、何一つ有りません。
 墓石に掘り込んだ文字も長年の間には風化して誰の墓か読み取れなくなります。それで良いと考えましょう。
 今、観音院で一番気掛かりなことは実は、み仏さまの耐震対策です。
 床下に三十センチの余裕がありますので、これで前後左右の揺れを吸収して、背後に碇となるボルトを埋めて、釣り糸の丈夫なもので揺れを支えようかと考えています。
 吊り物は必要な力で保てるようにしていますが、安全の保証は有りません。
 揺れる震度の大きさに常識は無いので自己満足の程度です。
 皆さんも何時大きな地震に遇ってもいいように家中を点検して下さい。
 観音院も法主さんの横に重い常夜灯とずっしりとしたみ仏さまが耐震対策されずに有ります。
 パソコンの本体ですら、怖いからと床に置かれる法主さんでもこうです。
 話が変わりますが、法主さんの鍵には呼笛と小さな懐中電灯が付いています。電池が無くても発電しながら聞けるラジオを常備されています。箪笥や本棚などは全部金具で壁に固定してあります。閉じ込められた時に使うバールと言う工具なども、職員全員が身近に置いて置くよう教育されています。災害は忘れた頃にやって来ます。
 仏壇に押し潰されたとか、礼拝の灯明や線香を原因とした火事で焼け死んではなりません。
 大きな震災は必ず起きます。それも相当高い確率で迫っています。
 家庭は家族が点検しましょう。寺は信徒さんが点検しましょう。仏壇屋さんは納品したら仏壇と家を固定して下さい。冠婚葬祭業者の方は須弥壇の飾りつけの元の耐震対策を考えて下さい。
 葬儀の最中には地震が無いと、いい加減なことを考えず、地震があったら祭壇はどうなるか、参列者の避難は、これは誰の責任でも有りません。一人一人の生死の問題なのです。

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