観音院では十月は供養の月だな 供養とは亡き人に恩返しの気持ちを持つこと

【寅さん】 院家さん、観音院の燈籠供養は年々良く続きますね。

【院家さん】 燈籠供養は燈籠をお供えするお気持ちを儀式にしたもので、自分の心に慈悲の灯火をともし、日々【いたわり 慈しみ 思いやり 相手の立場で考える】ことで、これが出来る人は素晴らしい仏教徒と言える。

【寅さん】 そっか、燈籠を寄付された人々に感謝してお寺が催される晴やかな行事かと思ってた。

【院家さん】 それもある。お供えされている沢山のお燈籠の施主で、既に亡くなられている人も多い。その方々の追弔菩提を弔う意味も大きいな。

【寅さん】 中には子孫に恵まれず、誰も法事をしてくれる人がいない精霊も沢山居られるだろうな。その人達は観音院を霊魂の拠り所として居られるに違いない。善いことをなさるね。

【院家さん】 今は日本のお寺は衰退期に入っていてな、その中で観音院は繁栄を続けている。これは観音院が亡き人との約束を守り、きちんと供養しているので、沢山の人の霊魂が観音院を拠り所として守護してくたさっているのだろう。

【寅さん】 そう言えば、観音院の信徒さんで直葬にされたと言う話は聞いたことが無いね。

【院家さん】 直葬は亡くなられた人をお経も上げずに茶毘に付し、お骨を海に撒いたり樹木の木の下に肥料として入れたり、宗教に関わると高くつくから他人に迷惑を掛けないように、自分の行く末はどうなってもよいと重い諦めた人たちがなさるのかもしれないね。

【寅さん】 世の中がカネカネカネと薄情になって行く中で、院家さんや住職さんの言動や行為はとても有り難く貴重なものになっていきますね。

【院家さん】 いや別に、そのように深くは考えていませんよ。私も住職も性格がよく似ていて、観音院の有り方は本当は自然体なのです。

【寅さん】 あまり理屈をつけずに、さらりと燈篭供養をなされるのが良いね。大般若経転読法要は既に四百十四座、これも約三十二年も続いていますよ。

御護摩も九月の第一日曜日の朝十時の法要で、六万一千四十五座になりましたね。院家さんが初めて護摩を焚かれてから五十五年が経ちました。

【院家さん】 寺の日誌を見れば、色々なことが分かるな。こんなことを言うのも何だが、ただひたすらに拝んでいてそうなった。

【寅さん】 すらっと、ひたすら拝んでいたら、こうなったと言う院家さんの気持ちは良く理解できるね。そう言えば、先代さまが原爆供養塔に毎日ご供養に行かれていたな、院家さんが引き継いで今でも毎日供養に行ってるの?

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