花まつり・誕生佛・十三まいり

お釈迦さまのご誕生をお祝いして
四月八日は「花まつり」です。
花まつりはお釈迦(しゃか)さまのご降誕(こうたん)をお祝いする日で、降誕会(こうたんえ)、佛生会(ぶっしょうえ)、潅佛会(かんぶつえ)ともいわれています。
お釈迦さまは今からおよそ二千五百年前、インドの北方にあるルンビニーの花園で、お母さまのマヤ夫人(ぶにん)が美しい花に手をさしのべられた時にお生まれになられました。
ご誕生の折りに、竜王は祝福の甘露(かんろ)の雨を降り潅(そそ)ぎ、雅楽(ががく)の美しい音色が流れて、人々はもとより動物たちも木々も花々も、全ての生きとし生けるものが、お釈迦さまのご降誕をお祝いしたとあります。
お釈迦さまはお生まれになるとすぐに七歩あるかれて、右手で天を左手で地を指して「天上天下唯我独尊」とおっしゃいました。
そのお姿をあらわしたのが誕生佛(たんじょうぶつ)です。
誕生佛をお祀(まつ)りする花御堂(はなみどう)はルンビニーの花園をうつしたもので、誕生佛に香水(こうずい・甘茶)を潅いでお祝いいたします。
花まつりとお稚児(ちご)さん
観音院の花まつりは、お釈迦さまのご誕生をお祝いするとともに、「お子さまとみ佛さまの善きご縁」をはぐくむご法縁として、今年も「お稚児さん」が行われます。
お稚児さんは普通、お寺の本堂を建て直した時の落慶法要などの特別の行事で、お子さまにとって一生に一度、お稚児さんに出る機会があるかないかという慶事です。
観音院で毎年お稚児さんが行われるのは、幼き時よりお子さまにみ佛さまとの善きご縁をもたれて無事の成長をお守りいただきますようにとの願いであるのです。
十三まいり
四月十三日は古くより「十三まいり」といい、数え年の十三才のお子さまは、男子女子ともに「虚空蔵菩薩さま」にお参りして福徳智恵(ふくとくちえ)をお授けいただき、厄除けをいたします。
今年は、昭和六十四年生まれと平成元年生まれのお子さまが「数え年の十三才」になります。
十三才という年頃は、精神的にも肉体的にも大人の仲間入りをする大切な節目として、昔から厄除けをする習わしがあります。
昔は、十三まいりは成人式の意味も込められていたようです。
男子は十五才で元服(げんぷく)しました。女子はお嫁入りの年頃であり、大人としての精神的な自覚を求められました。
現代では、学生であり親の扶養(ふよう)の下でまだまだ子供という気がしますが、複雑な社会の中であらゆる情報が氾濫(はんらん)し、いまだ学歴中心という社会の現実の中で子供にとっては多難な状況があります。
「十三まいり」は大人になっていく過程での、多感な年頃の子供たちにみ佛さまの智恵をお授けいただき、心身ともに善き成長がありますようにとご加護を願います。
虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)さま
虚空蔵菩薩さまは、観音院の本堂、金剛界曼荼羅の前にいらっしゃる佛さまで、福徳智恵や暗記力、記憶力をお授けくださいます。
東の空に輝く星、暁の明星(金星)は虚空像菩薩さまの化身として古くより多くの信仰を集めています。
この虚空像菩薩さまを本尊とする「求聞持法」(ぐもんじほう)を修(しゅ)し成就(じょうじゅ)するならば、見聞覚知(見たり聞いたり覚えたり知ったりしたこと)をすべて忘れることがないといわれます。
平安時代には官吏(かんり・役人)の登用試験の受験生たちにも記憶力増進法として知られていたといいます。
若き日のお大師さまも、この厳しい修行(しゅぎょう)をなされて教典(きょうてん)の勉強に励(はげ)まれたといわれます。
毎月十三日のご縁日(えんにち)には、虚空像菩薩さまのご真言(しんごん)がお唱(とな)えされますが、ご家庭でも勉強の前や本を読まれる前などに、お唱えされると記憶力を高めるお力をいただくことが出来ます。
虚空蔵菩薩真言
のうぼう あきゃしゃ
きゃらばや おん
ありきゃ まりぼり そわか
み佛さまのご守護を頂いて
「十三まいり」の厄除けにお参りされたお子さまには「厄難消除」(やくなんしょうじょ)のお札(ふだ)がお授けされます。
小さなお子さまは「稚児衣装」(ちごいしょう)を着けて花御堂の前で記念撮影が出来ます。
本堂と客殿(きゃくでん)に花御堂をお祀りいたします。ご家族でお稚児さんを中心に記念写真をお撮りくださいませ。
また、四月はご入学ご進学のですが、お祝いに贈られるカバンや文房具などの本尊守護(ほんぞんしゅご)・学業成就のご祈祷(きとう)がお願いできます。
就職のお祝いは職場成就のご祈祷をいただきます。
また、小さなお子さまの交通安全を願いお履物(運動靴など)のご祈祷も多くお願いされています。
観音院では「花まつりのお稚児さん」「十三まいり」ともに、四月中いつでもお願いすることが出来ますので、ご法要の時間にあわせてお参りくださいませ。
お子さまにとりましても「花まつり」や「十三まいり」は、両親やご家族が自分の成長の為に祈ってくれるという喜びとして、いつまでも心に残る善き思い出となることでしょう。
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