法主さんに、未練や執着は一切無い

「去るものを追わず、来るものを拒まず」が信徒さんに対する基本的態度です。しかし、この上に、宗教の自由という憲法(信教の自由の規定)で保障された皆さんの権利を犯されることは絶対にされません。
 檀家制度というのは各家の宗教ですから憲法違反です。観音院では、氏名住所を知らせて維持に協力された人を「信徒」と言います。住所氏名を登録されても布施をされない人は半信徒ですね。差別は特にありません。一年間に万を超える数の信徒さんの移動があるようです。お坊さんは約二百人、これも少しは移動があります。
 手当て不必要らしいのですが、貨幣経済のもとで生きるには若干の費用がが必要で、全財産は現金で三百万円くらいだと思います。通帳を合計すると勿論、一円の単位まで分かります。日用品は信徒さんの匿名現物寄付です。
 法主さんの周囲の物は、全部、寺の什器備品です。購入されたり、廃棄される権限は一切ありません。
 先般、東京へ出張された際に領収を全部無くされて経費に上げていません。
 公私は峻別されていて、公の部分が私の部分を大きく侵食しています。
 税込み五十五万円と約二十万の年金がありますが、全部を総務に任しておられ、財布を見ながら入れておきます。
 ご本人の希望では、手当て無くても年金だけで良いと言われますが、監事などはそのようには常識でできません。
 放置するとお金が無ければ東京まででも歩いて行かれかねないお方です。
 衣服、食事など一切好みは申されません。監事は大変です。食事が用意されて無いと絶食、冬に夏物、夏に冬物なんて拘(こだわ)りがありません。
 強いて言えば金襴は好まれません。
 昔から引きずっておられる私物等も皆さんが望まれれば即座に下さいます。
 万一火事になったら、消火よりも、信徒さんの避難誘導が全て、み仏さまにも什器備品にも拘(こだわ)ってはならないと強く指導されています。
 火中に飛び込んで、本尊さまを運び出すような事は絶対禁止事項です。
 但し、防火の設備は凄く、ボンペットという自動消火剤は数えきれません。
 トイレの暖房便座のような、およそ火事とは無縁のような場所でも消火器が設置されています。万が一火が出ても炎で消火剤が飛散して、防火扉が閉まっていれば、酸素が無くなれば自然消火するでしょう。全焼はありません。
 観音院の職員は全員が、防火管理者と衛生責任者です。火事も食中毒も、執着の前に起こさないことが大切です。
 法主さんは、買掛けは絶対にされません。有る範囲でしか購入されません。
 一銭も借金が無いのです。今日か明日か生死が分からないのに割賦やリースは絶対かつ完全不可能と言われます。
 税金についてご意見を聞いたことがあります。国や地方自治体が必要とされるなら資産全部を差し上げて良い。
 脱税はおろか節税の意識も全くありません。国家が膨大な借金をされていることも、あれは大馬鹿のすることだと言っておられます。国債やら地方債を計画した人たちは、無いお金を将来に利息を付けて返還するという無計画な借金をする大馬鹿ものだそうです。
 最近、四十年とか五十年ものの債権発行を計画する人たちがいますが、孫子のことを考えぬ大馬鹿者だと憂っておられます。
 イラクの戦争も大馬鹿者の引き起こしたことで、元に復興するには日本の戦災復興と比べれば三十年から五十年は必要だと言われます。
 毎年八月六日には広島市では平和祈念式典が行われていますが、多くの人が願っているのは原爆犠牲者追弔法要で、犠牲者が原爆の熱波や放射能汚染で死に、現在も多くの後遺症で苦しんでいることは皆さんご存知の通りです。
 ニューヨークのテロ行為による直接間接の悲しみや苦悩は五十年は忘れられないと思います。
 第二次世界大戦が済んで、平和憲法が制定された時の感激と喜び、安心は今も忘れることができません。
 その憲法が、虹色になって、良く分からない玉虫色となり、自衛隊がイラクに派遣されました。
 政治的発言は慎みたいのですが、自衛隊の正当防衛的武器持参の海外派遣は不殺生の戒律を護持する僧侶として賛成の立場は絶対に取れません。
 次いでながら死刑制度にも反対の立場です。現在の経済にも馴染みません。
 何はともあれ、派遣された自衛隊の方々が発砲されるような事態にならず、一人残らず無事に帰還されることを心からお祈りするものです。

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