施餓鬼供養の始まり

施餓鬼供養の始まり

施餓鬼供養は、観音院ではお彼岸やお盆に行われていますが、それに限らずいつ修しても良く、ご先祖様や有縁・無縁の精霊、本人やその周囲の人々にまで慈悲(じひ)と無量の功徳(くどく)が巡らされるご供養です。

 施餓鬼会の由来は、お大師さまが唐から請来(しょうらい)された佛典の「焔口餓鬼陀羅尼経(えんくがきだらにきょう)」に説かれています。

 お釈迦(しゃか)さまの弟子の阿難尊者(あなんそんじゃ)の前にやせ衰えた、恐ろしい形相の焔口(えんく)という
餓鬼が現れ「三日の後、汝(なんじ)の命は尽きて、われらと同じ餓鬼となるだろう」と言いました。

阿難は驚き、その難から免(まぬが)れる方法を問うと、「餓鬼道にいる苦の衆生(しゅじょう)、あらゆる困苦の衆生に対して(おんじき)を施(ほどこ)し、三宝(さんぽう)「佛・法・僧伽(そうぎゃ)を供養すれば汝の寿命は延び、我も苦難を脱することができる」と餓鬼は言います。

 阿難尊者は悩んでお釈迦さまに救いを求めると、陀羅尼(だらに)を説かれ「施餓鬼の法」を授かりました。

 お釈迦さまは「餓鬼の言うのは真実であるが、恐れおののくことは無い。観世音菩薩からひとつのありがたい秘呪を授かっている。一器の食物を供え、この「加持飲食陀羅尼(かじおんじきだらに)」を唱えて加持すれば、その食べ物は無量の食物となり、一切の餓鬼並びに修行者たちは充分に空腹を満たされ、無量無数の苦難のものを救い、その施主は”寿命が延長”するだけでなく、その功徳によって”佛道を証得する”ことができる」と説かれました。

 自分のご先祖はもとより、供養されていない可哀相な精霊、無縁の精霊、すべての生きとし生けるものへの慈悲を巡らす尊いご供養とされています。

 阿難尊者は教えに従い、施食(せじき)せられたところ、焔口の言ったように寿命は延長し、お釈迦さまに奉侍(ほうじ)すること二十余年、菩提(ぼだい)を証することが出来て、これが施餓鬼の起源といわれます。

 供養に恵まれない精霊に供養されます。五如来の旗(はた)が立てられ三界萬霊のお位牌が安置され、お洗米と餓鬼の細い喉にも通るように野菜を細かく刻んだもの(人参、椎茸、胡瓜、高野豆腐など)を混ぜた物と、甘露水(かんろすい)などをお供えします。

彼岸供養は、太陽の沈む方向が阿弥陀如来さまと浄土にある方角である真西であるためともいわれています。
彼岸の世界にいる人を供養するとともに、まだ迷っている人々に太陽の方角が進むべき道標となり、早く向うら辿り着けるように祈りを捧げます。

 施餓鬼供養文は、観音院の常用経典「まことの道」百八ページまたは観自在9月号 8・9ページにありますので、ご法要で、ご家庭で、ご供養が気にかかる時にお唱えしましょう。

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