国境が低くなり、規制緩和でどうなる

僧侶は財産を持たず、財布を持たず、家族扶養など考える必要もも無く、経済状況などは全く関係が無い。と、表向きはそのようになっているが、宗教法人は財産の管理が大切で、その上に冷暖房なんて考える必要も無いが、毎月定例日には光熱費やら専従職員の手当てとか、いろいろあってややこしいことだ。剰余金がある時は国債とか不動産など確実な資産に替えて保管しなくてはならないというのだから余計にややこしい。世の中が激動しているのだ。鈴之僧正さまのお話を要約。田川純照 記

口蹄疫でヨーロッパは大変。接触や空気伝染もする疫病

口蹄疫(こうていえき)は口蹄疫ウイルスによる牛、豚、めん羊等の偶蹄類(ひずめの形が割れている動物)の急性伝染病です。

疫病は流行病や伝染病のことで口や蹄に症状が出ることから命名された怖い病気です。

症状は口、蹄(ひずめ)、乳房の皮膚や粘膜に水疱ができたり、爛(ただ)れたり、発熱したり、涎(よだれ)も流します、「流涎(りゅうぜん)」ともいいます。その上に足元が覚束なくなります。

口蹄疫のウイルスは水疱が破裂すると周りの家畜に物凄い速さで広がっていきます。

口蹄疫にかかると家畜は急激に痩せます。死ぬことは一般的に少ないが、幼ない家畜では死ぬこともあります。一頭の感染が発見された時は一緒に飼っていたものは全滅と判断します。ヨーロッパでは何万頭も埋められるような穴を掘って埋めています。

この病気は畜産業に壊滅的な影響を与えることから、世界中で最も恐れられている家畜伝染病です。

蔓延を防ぐために診断は緊急を要し、日本では家畜衛生試験場海外病研究部診断研究室が行うことになっています。

わが国は口蹄疫の発生した国からの動物・畜産物の輸入が禁止しています。

日本は口蹄疫の発生のほとんどない国ですからワクチンは使用されていません。ただし、発生時の緊急対策として牛用ワクチンが備蓄されています。

ヨーロッパは大連合を目指し、物流の自由や貨幣の統一をしてきただけに感染力の強いウイルスには困難な問題が山積しています。

疫病の流行を防ぐためには国境は極めて有効な役目を果たします。

口蹄疫に感染した肉を食べても人間には感染しません。食べ残しの残飯を飼料として豚などに与えると伝染します。

移動については厳重な検疫がなされています。感染地域から車のタイヤや人の履いている靴の裏まで消毒の対象になります。

狂牛病の可哀相なテレビの画像は皆さんご存知ですね。

日本は幸い未感染国です。水際での対策が上手く機能しているのでしょう。お隣の韓国は家畜市場を閉鎖しました。私たちの知らないウイルスが猛威を振るうことは考えられることで、飛行機は一日で世界中にウイルスを運べるほどに世界は狭くなり、今日では地域病に押し込めることは困難です。

口蹄病の家畜を焼却処分することは殺生に相当するか否かを考える時、種の絶滅をもたらすほどに猛烈な伝染力をもつ場合は特殊な例として殺生には該当しないとするのが正しいと解釈しています。


HIV非加熱製剤感染事件。薬害エイズの東京地裁判決

血友病患者の治療に非加熱製剤を使用して、HIVに千五百名が感染し、約五百名の方が亡くなられた。真に悲惨な医療過誤事件でありました。安部さんは厚生省のエイズ研究班の班長でした。

業務上過失致死で起訴されていましたが、非加熱製剤に代わる良い薬がなかったので仕方が無いというのが無罪の主たる理由です。

非加熱血液製剤は全国八百三の病院で手術に使用され、ウイルス肝炎に感染した人が沢山おられます。心配な人は無料で検査してもらうことができます。

猛威をふるっているのはB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスで、結核に次ぐ第二の国民病に進展する可能性があり、感染予防と二百六十万人をこえると推測されるウイルス保有者の抗ウイルス療法、病勢進展の予防が急務です。

千九百七十年代後期から八十年代中ごろまで、血友病患者の人たちが非加熱血液製剤を通してHIVに感染された結果、多くの人がエイズを発症されました。

血友病は血液の中の凝固因子を欠く病気で一万六千人に一人くらいの割合で産まれる遺伝子の欠陥によるもので、感染しません。

現在は自分でも可能な注射とか遺伝子組み替え製剤も開発されて実用化されようとしています。

輸血や血液製剤などを通じて肝炎ウイルスの感染があったことは良く知られていることです。A型B型肝炎に対するワクチンの接種は有効ですがC型肝炎に対するワクチンは今のところ有りません。

今日の血液製剤に対する安全策は、大いに進歩はしているが、完璧ではなく、血液全体と、赤血球、血漿、血小板を含めた血液構成要素は現在のウイルス殺菌法を使うことが出来ません。重要な血液要素に損害を与え非活性化してしまうため、血液製剤としての用をなさなくからです。

HIVに関する裁判は古い知識でなされたことを新しい知識で裁くという難しい性質があります。

販売に関わった会社経営者三人は有罪の判決を受け控訴しています。阿部先生の裁判は検察側が控訴する見込みです。九月には厚生省の係官の判決があります。これにも微妙な影響がありそうです。

多くの人とこの問題で話し合いましたが、社会的要請と言えるくらい厳しい実刑判決を望まれている方が多く、無罪判決には意外と受け止められていますが、人民裁判であってはならず、判事の沈黙は保証されなくてはなりません。

いずれにせよ、所轄の官庁、医学部、学会、病院、医師と医師会、製薬業者、医薬品流通業者、医学薬品情報に接することが可能な人たちの何処かで大切な情報が上手く伝達できないシステム上の不具合が主原因だと思っています。

今月は法話というより世相について法主さんの感じておられることを要約したような感じになりました。要約内容に間違いもあると思いますがご指導賜りますようお願いします。

1972年から88年にかけて帝王切開、新生児出血、交通事故等で手術を受けられて血液製剤の投与を受けた可能性のある人は肝炎感染の可能性がありますので検査を受けて下さい。


デフレとは通貨の収縮。スパイラルは螺旋(らせん)状の意味

三月十六日、デフレ宣言があって、二年続いて物価が下落するのは始めてのことだそうです。

物価が下落する、企業の経営がが悪化する、給与が少なくなったり人員整理が行われる、消費が減る。更に価格を下げないと売れないから売価を下げる。企業経営はより苦しくなる。更に給与の原資が減る、人員整理を考える。

このような悪循環が続くことを螺旋階段に例えて、デフレスパイラルに陥るといいます。

土地価格は十年間下落を続け、株価も最安値を記録しました。バブル崩壊後私たちは千二百兆円もの資産を失ったことになります。

いろいろと数字を挙げますが私が計算したものではありません。

実際には十年前に購入された土地を持っておられて換金されると失った資産の額が分かります。

株も同様ですね。十年前に一万株を千二百万円で買われたものが今日現在では四百五十万円だったりします。株価は毎日のように価格が変動しますので精神的には相当こたえる筈です。

昨年九月に株でもしてと言った人に週刊東洋経済という雑誌をプレゼントして勉強してからやりなさいと助言したら、最近になって、やらなくて良かったといっておられますが如何なものでしょう。

米国では十人に四人の割合で株式に関わっておられますが、日本では株屋さんに出入りする人は少ないようです。

最近はインターネットで安い手数料で株の売買ができますから、その気になって嵌ると悲喜劇が生まれるでしょう。

人は最悪の事態を想定して行動することが多く、かつ人は揃って同じような事態を想定する性癖がありますから、集団として悪い事態を想定すれば、事態はより悪くなる方向に進みやすいものです。

このような社会ではリスクがある仕事に挑戦する人は少なくなり企業も慎重になります。全体として沈滞ムードになります。

観音院も今年はなるべく物を買わない方針です。元々無借金体質ですから無理はしません。

お寺さんも迂闊に造成業者などに乗せられて墓地などを販売されてと考えられたところは寝られないような思いをしておられます。


工業社会から情報社会に変貌する痛みがデフレに

新しい企業の参入と古い体質の企業の退出、それを日々の新聞などで見ることができます。現実に近所で老舗が店舗をたたまれ、かけていた保険が契約通りに払われなくなる。日本の保険会社は逆サヤで苦しんでいます。

この五年間で七社の保険会社が破綻しました。保険の基礎となる運営利回りの計算式が変わったのですから無理がありますね。

入るお金より出るお金の方が多い、そのような構造の企業は存在できません。同様に過剰な設備を有している企業も、過剰な負債を抱えておられるところも表舞台から退出してもらわないと日本の信用が不安になるのです。

銀行の不良債権処理も大変な問題で早急に処理する、アメリカとの約束ですが、どうして内政干渉のようなことを言われるか、日本がこけるとアメリカも世界の各国も甚大な影響を受けるからです。

何はともあれ、日銀は物価が安定するまでは零金利政策、通貨供給を増やされて調整に努力されるそうですが、どうなるでしょう。

これって「調整インフレ」ではないのと聞きたいのですが、通貨を沢山供給すると円安になる筈です。輸出が易しく輸入品は高くなる。物価が高くなる。土地神話も復活する。どうなるのか分かりません。生活習慣としては物価右肩上がりの方が理解が易しいです。

ま、全ての借金棒引きにするようなことでもありませんし、物価の下落が止まるまでという期限付きですけど、怖いことです。

デフレ時代の生き方は借金をなるべくしないこと、割賦で物を買わないことが大事です。賃金体系は出来高払い、能率主義、利益配分型に動きつつあります。終身雇用の年功序列型は終焉に近付きつつあります。大人も勉強が大切で自分のスキルを上げることが生き残りの大切な要件です。

景況が悪い時期にはある種類の動物や植物が馬鹿値を付けることが流行することがあります。一過性のものですから、のめり込まないよう注意しましょう。小遣い稼ぎになるようで売れば売るほど利益が大になる商売は押し入れが在庫の山になることがあります。

美味い儲け口や高金利の話は賢い人に任せましょう。欲深いと詐欺にかかります。冷静さが大切、私は運が良いとか賢いと思ったら本当にババを引いてしまいます。

デフレは経済の状態を表す言葉で、人間性までデフレに合わせてはならないことですが「貧すれば貪する」のが普通の人です。

質実とか勤倹貯蓄、誠実であることは如何なる経済状態であっても必要なことです。

経済の仕組みが簡素化され範囲が大きくなります。競争相手も多くなります。情報の伝達が早くなり、価格の中身が公開されます。

それらの環境の中で淘汰されてきたのは、経過時間の差こそあれ常在したことです。人間のしがらみは難しい問題です。関わりの大小によって態度を決定しましょう。

思い遣りとか相手の立場で考えることは何時の時代でも大切にしたいものです。

お金を貸すと、人間不信になったり、場合によっては債鬼にならなくてはなりません。預金する際の金融機関の選択まで個人の自己責任となったのです。

お金を借りると約束が守れずに人を裏切ることになりかねません。

どなたも債鬼になったり、債鬼に追われるようにならないでください。人は誰でも債鬼になれますし、債鬼に追われるものです。

経済の仕組みや貨幣の価値、社会構造そのものに新しい規制や規制緩和がなされる変化や激動の様子がみられます。遺伝子の組替えのような新しい技術や低廉一律料金の会社も旧来の電話会社の存在を脅かしています。情報伝達の量や速度、処理も劇的に進歩します。

世の中が難しくなりつつあるのは事実ですが「まっとうな人」にとっては、それほど怖いことにはなりません。たくさんの人が同じ環境に居るからです。但し赤信号は渡らぬことです。

金銭を貸すのは、差し上げても良い範囲内の金額に止めましょう。投資も棄てられる範囲内であれば愚痴は出ません。無理をしたり、欲にかられると思い通りにならないものです。

世の中が変化していることに敏感になりましょう。他人の話に耳を傾けましょう。ネットで検索してみましょう。情報量の差によって損得や利害得失生じる情報社会なんですね。

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