公序良俗と道徳を大切に信仰心をもつこと

幼児期のことも青年期のことも多くは語りたくない。多くの関係者は生きておられて、昔のことを語れば他人を傷つけ、同時に私も傷つくことになる。それに、私の考え方や信仰の多くは三十歳後半であり、それは瞑想(めいそう)や読書によって得られたものである。そして、多くの人に助言したいことは、三十歳くらいまでは若気の至りで済むことが多いが、三十歳を過ぎれば慎重に生きて行かないと、この時期から人間の評価が定まってくるからである。鈴之僧正さまのお話を要約。田川純照 記

三十歳までに一千万円の貯金を それを生かして借金をしない

 

生きて行くうえで利息を払うために働くくらい辛いことはありません。他人にお金を貸す場合は返済されることを期待してはなりません。お金を貸して返済を期待すると債鬼になる恐れがあります。

お金は出て行ったら借用証書があっても返済はされないものと考えておくべきです。適切な担保があって、信頼に足る保証人が複数いて、公正証書を作成していて、約束が破られた時は催告をせずに強制執行ができる。そのように慎重にしても金貸しにはならないほうが怨まれずに済みます。

万一債務の返済が約束通り実行されない時、差し押さえを受けた保証人は大変に驚き、人間不信に陥り、何故保証人になったのだろうかと後悔される筈です。

地価の下落は担保価値の下落となり、金貸しのプロである銀行でさえ経営を誤ったのです。観音院の僧侶はお金を貸すと戒律違反として僧籍を抹消されます。これは僧侶を債鬼にしないための戒律で例外は一切認められません。

ただし、差し上げることは戒律には反しません。もし観音院の僧侶から借金をされている場合は返金される必要はありません。債鬼になった途端に該当僧侶は寺から戒律違反で追い出されます。信仰心を維持できない可能性のある僧侶は免職されて当然です。

借金をする僧侶も失格です。債務の弁済を滞ると返済を迫られます。債鬼に追われる僧侶なんて漫画にもなりません。

分割払いもリースも厳禁です。お金が無い時は買わないという辛抱もできないで一人前とは考えません。お金が貯まると使い方が慎重になります。皆さんが日常カードなどで買われる物の必要性を考えてみてください。本当に必要なものかどうかです。

テレビ広告の十回払いの金利売り手負担の物なんてゴミを買うようなものです。毎月払いの美術品なんてクズです。

快楽を追求すること、何だか響きの悪い言葉ですが、中国の結婚式の贈り物に「結婚快楽」と表書きがしてありまして、漢字の使いで、中国と日本の文字の使い方の微妙な相違に驚いたものです。

利益追求は企業の意思であると同時に、個人にとっても大切なことであると思います。

それが快楽と利益を追求することを人生の目的とすると、多分に誤解される人格になりかねません。

快くてとても楽しい毎日を求めることは、人生のあり方として望ましいことで非難に当たりません。

問題は快楽の方向や質にあります。他人を悲しませたり、妻子や親などに心配をかける快楽の追求は決してなしてはなりません。

    

周囲の同意やお祝いが述べられない快楽は維持することが不可能です。一時的な快楽を追及して、後日大きな付けを払わなくてはならないような性質の快楽は多くは思慮に欠け、我が侭で、衝動的なものであり、人の道に反する行為です。このような快楽を求めることは必然的に不幸を招きます。

快楽は刹那(せつな)的なものではなくて継続できるものであり、深い愛情に基づくものであり、双方が快楽を享受(きょうじゅ)できるものでなくてはなりません。

ジェットコースターに乗ることは多くの人にとって楽しいことです。男女の関係がこのような乗り物のようにスリルに溢れ、激しく上下するものではいけません。

愛情は深甚な尊敬と相互の人格を尊重したものによります。

かりそめな妊娠出産などは女性にとって大きな負担であると同時に男性には山のような責任が生じると、若い人たちに教えておくことが重要になります。

万一道ならぬ人間関係が生じた時は解決を「時の経過」に任せて厳重に秘匿してください。表面化した時は「縁が無かった」と思って諦めることが大切です。道ならぬ人間関係を維持するには相応の知識能力人格と愛情と維持する費用の負担が不可欠です。

観音院は婚姻関係を保つことを重視し、役員就任後の離婚の有責者は役員を解任、または辞任していただく決りがあります。

お金を貸借した職員が解職になるのは地獄に陥ちるような苦しみ、債鬼になったり、債鬼になるのを防ぐための決りです。

離婚も同様に考えています。子供さんのある夫婦の離婚は将来に地獄を迎えると考えているのです。子供さんがおられなくても、約束が守れない人として基本的にお寺の役員さんには不向きです。

ただ有責、不幸に責任ある人という規定は曖昧です。将来的には 無条件で自動的に解任にするよう定めるべきと考えています。

金銭至上主義は困りますが 役に立つお金は金額も相応に

三十歳になるまでに一千万円の貯蓄をするよう勧めましたが、換言すれば所得の半額を貯金することで、これは相当に大変な辛抱と我慢が必要で、浪費はおろか喫煙も飲酒もできないでしょう。

親から相続した財産とか、宝くじに当選するようなことは屁のようなものです。金銭は貯める知識と運用する能力を身に付けることが大切な勉強で、持ちつけぬお金を持った時の訓練をしておかないと悲惨なことになります。

最近のITブームの中で上場し、巨額の上場益を手にした人を何人か知っていますが、金銭の性質、人の血と汗と智恵の結晶であることを確認できていない人は、自分で地獄をこしらえて、自ら望んで地獄に陥ちられたように見えます。

お金は世の中を動かす潤滑油です 誠実に努力し、勤勉に向上心をもって

人間万事金の世の中、金が金を儲ける、金の光は阿弥陀ほど、金持ち喧嘩せず—-と金銭に関する諺は沢山あります。

金の貸し借り不和の基、金の切れ目が縁の切れ目、金は天下の回り物、金さえ有れば飛ぶ鳥も落ちる、なんて申しますが、金は三欠くとも言いまして、義理に人情と交際を欠くくらいにしないと貯まらないとも申します。

現在は金が敵の世の中です。日本は高度成長とやらで、国中に新幹線を敷設し、そこら中にリゾート施設をつくり、便利になりましたが、借金でやったのは拙いことでした。年収六百万円の人が五千万くらいの借金をして家を建てたようなもので、これは大変です。

残念極まりないことですが、このような物凄い借金大国はどのような偉い政治家が努力しても改善の方法はありません。

仮に公務員を半分にして、給与も退職金も三分の一にできるなら何とかなるかもしれません。

でも不可能なことは誰の目にも明らかなことです。

広島県内で再三ストライキをしているバス会社がありますが、お客が少なくなって収入が減った。だから支出を抑えようとする、すると働く人がバスを止める。日本と事情が良く似ています。

日本の製造業がどんどんと外国に出て行きました。空洞化が問題になっていますが、安くて質の良い労働力を求めて、外国を放浪しているだけです。

外国のあちこちを旅行してみますと、日本の労働者が大変に賃金が高い、もちろん生活の質も大変に高い、物価は下がり気味ですがまだまだ高いように思われます。

米国はとても景気が良さそうだけれども、外国資本が沢山流入していて、米国人の生活も借金体質で、日本よりも未だ悪い。

世界一の軍事力を背景とした経済大国ですが、ぼつぼつ下降するころで、株の大暴落でもやってくれると、日本の市場も連動しますし、欧州もアジア諸国も滅茶苦茶な金融不安になると思います。

二十一世紀は金融不安、経済破綻、通貨価値の下落など先進諸国の贅沢飽食に天罰の下るように思えてなりません。皆さんはどのようにすれば良いか、先ずは米食を復活させるというか、米余りの現状を改めて、米食と味噌汁などを食生活の中心に戻すことです。

手形決済の商習慣から現金決済に変更すべきです。韓国は大宇自動車が破綻し、決済の中心は手形取引であったために二千社か三千社が現金化できない手形を抱えて困っています。

在庫は減らす、売れぬ物は造らない。維持費の高い物は整理する、少数精鋭で団結して収入源を耐え抜けば必ず道は開けましょう。冷暖房や大型車などは使わないように工夫する。二十一世紀は小型車の時代です。IT先進国になると政治は言ってますが、パソコンを普及して何をするのか全然見えて来ないでしょう。

信徒さんからパソコン導入の相談を良く受けます。何をされるのか聞くと、世の中に遅れをとらないように、誰かに危機意識を持たされておられるのです。

遠からずインターネットは使い放題で月額三千円くらいにはなると思います。電話代は若しかすると全国一律三分五円くらいになるかもしれません。

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ITの普及もある意味では非常に結構なことで、技術も進むと予想されます。その結果が経済に波及することも確かです。しかし、急激になされることは泡沫的計画で近い将来にバブルは弾けます。

ITを経済の牽引力にしようという計画は少し弱いと思います。

経済的見通しは悲観的だが 勤勉さと正直で山を越える

私は経済的な動向については相当悲観的ですが、世界的にみると平衡化するのは比較的に早い速度でなされるのではなかろうかと想像しています。水準より高い生活をしている国々には大変な痛みを伴うと思いますが、換言すれば、インドや中国、南米諸国、アフリカ諸国などで生活の質が向上し、大きな意味では人間は幸せを求めて努力する過程にあると信じています。観音院が専従職員を求めるにあたり語学力を重視しているのは正しい選択だと思います。

そのような意味ではインドや中国などの語学力は日本より優れていて、かつ数倍の人口を擁していて将来的なことを考えて大切に交際したいものです。日本の国民も仕事の公用語である英語の読み書きと、聞くこと話すことについて革命的な教育をする必要があると思います。少なくとも皆さんや皆さんのお子様については十分な配慮が欲しいと願います。

経済的な繁栄については少々悲観的な考えを披露しましたが、幸いというか、困ったことというべきか、皆さんの全てが困窮に喘ぐようなことにはなりません。

世の中は誠実に努力する人間としない人間では、何時の時代でもどのような世の中でも勤勉な人に報いるようになっています。

誠実で勤勉で向上心があって、相手の立場で考えることのできる人には、安心して住める場所と安心してできる仕事の場所が与えられるようになっています。

そのような意味では、どのように大きく世の中が変化しようと、彼是と心配するのは取り越し苦労で杞憂といえます。

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