光然の高野山修行日記 ・四 後半

着替えが終った者は、勤行開始前に寮監先生が火を点けていた味噌汁鍋、ご飯釜、湯釜の火を消し、事前に用意しておいた茶葉を投入済みの薬缶にお湯を注いで、寮監用お盆を食堂に運び込みます。

概ねこの時点で三分目を告げる鐘が叩かれ始めるので、作業を中断し集会所に戻ります。

余談になりますが、お説教や指導が入り勤行の時間が伸びてしまうと、味噌汁からは水分が失われ、シチュー状のとろみが強い味噌汁(時には焦げ味が添付される事も)となります。
ここでいつも通りの量で盛ると全員に味噌汁が行き渡らないので注意が必要です。

閑話休題、下座を告げる挨拶と共に班員はそれぞれの持ち場で作業を開始。勤行前に、人数分の食器を積み上げておくと効率的です。

身軽な人間が食後の食器洗いのために二つのシンクにお湯を溜め始め、配膳係がお茶と、食事作法(じきさほう)で用いる生食水(さばすい)と呼ばれる水を注いで回る間に、ご飯を盛り、そこに漬物を乗せ、味噌汁は垂れた汁を拭きとり、配膳用の箱に乗せて行きます。

程よく配膳箱が溜まって来た頃に配膳係がやって来て配膳開始。

漬物係、拭き取り係も合間を見ながら食堂に運んだり箱の回収を行います。

順調にいけば十分程度で朝食の用意は終わり、残りの五分間で片付けを行います。食後に行っても良いのですが、時間に追われがちな学院生活のためにも、ここで仕上げておく方が何かと
良いのです。

ご飯と味噌汁鍋を洗い、配膳箱内の零れた味噌汁やご飯箱を拭って、各所に散った水分を拭き取ります。

程々に手持無沙汰になってきた頃合いに下座終了を告げる鐘が鳴り、一同集合してから大師、明神の御法号をお唱えしてから、再度「三分ダッシュ」から食事へと移行します。

食事や食当係のお話はまだ色々とありますが、今月は以上とさせて頂きます。

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