光然の高野山修行日記 ・十三 前半

前回で一学期も終わり、夏季休暇を挟んでいよいよ専修学院修業生活の目玉。約百日間に及ぶ修行の日々「四度加行」が幕を開けます。

それまでの学院生活とどんな違いがあったのか、何をして過ごしていたのか、どのような教えを受けて来たのか。

お伝えしたい事はいくらでも出て来るのですが、真言行者としての機が満ちる前に密教の行法に触れる事は、教えた者、知ってしまった者ともに「越三昧耶」という罪に落ちてしまいます。

なので曖昧な言い回しや、歯切れが悪い表現は「言ってはいけない部分だな」と笑って流して頂ければと幸いです。

そのような次第で学院生も四度加行の情報は以下の通り。「新聞含め外部の情報は一切遮断」「身内の訃報を耳にした場合は四度加行を打ち切り、下山する慣わし。加行は一年後に再度受ける」「それを踏まえて身内には連絡をしてこないように言い含め、訃報を連絡しても院生には通達しない事に合意する」「医薬品表示があるのど飴第一部を除き、食品類の持ち込みは一切禁止」「体重を落とし、股関節は柔らかくしておいた方が良い」等々・・・・。
「気を抜いて臨むなよ」とこちらに釘をさす意図を込めた情報が入って来るばかり。

どうなっていくか分からないながらも、命が奪われるような事はそうそうなにでしようから、緊張感をもたらす警句が良い感じに気分を盛り上げてくれ、ワクワクして気持ちで入寮日の九月三日を迎える事となりました。

今回は入寮から四度加行と、その前行の開白(開始)までについてお話いたします。

■九月三日(木曜)入寮日
八時半:高野山内での師僧、保証寺となって頂いている龍泉院様を出発。
前日の内に新たな部屋へ荷物を運び終えていたので、以前の住人が押し入れを空けてくれるまで他の院生の手伝い。

十一時:仲間と昼食に出掛ける。カツ丼を食し世俗に別れを告げる。

十二時:新たな同居人と室内の整頓。

十三時:一同集合。耐震工事のため、集会所の各所に支柱やカバーがある。一ヶ月ぶの面々。最長老であったY氏が病気療養のため中退した事を知る。

十三時半:各班担当場所の下座~道場洗い。一学期末にも行ったが、やはりいくら床を拭いても雑巾が真っ黒になる。その後、加行道場へ入堂する際の通路になる場所への茣蓙引き、机などを出して行く。

十六時十五分:夕勤行。

十七時:食事(ご飯、キツネ天かすうどん、柴漬)(始まりはいつもうどんなのだ)

十八時:加行に入る上での注意事項を教室で受ける。

二十一時:就寝。

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