世界的な景気の変調、試練の時代

■ギリシャがユーロの緊縮財政を受け入れて、その次はイタリアがIMFの管理下に這入りました。九十年代に入ると、ヨーロッパ連合(EU)との絡みで、公的企業の民営化や民間企業の再編といった形で、加盟国はそれぞれの経済・財政のさらなる構造再編を余儀なくされました。七十三年のオイル・ショックによる原油価格の高騰によって、イタリア経済を取り巻く環境は激変した。高度成長を支えていた諸条件が解消されざるを得なくなくなりました。その結果、七十年代と八十年代前半は、イタリアにとって第三世界への「転落」を懸念されるようになりました。

 「イタリア経済の第二の奇蹟」と名づけたように、経済活動の復調がみられた八十七年にはイギリスのGDPを凌駕し、世界で第五位の工業国としての地位を確保するようにまでなりました。特に九十年代に入ると、ヨーロッパ連合(EU)との絡みで、公的企業の民営化や民間企業の再編といった形で加盟国はそれぞれの経済・財政のさらなる構造再編を余儀なくされました。イタリアの高度成長は、貿易の自由化や五十七年のEEC発足という環境のもと輸出志向型工業の急速な発展を機動力として、安価な労働力と石油を活用して実現されたこと、六十四年以降、労働コストの上昇、インフレの顕在化、国際収支の悪化が進行した結果、高度成長の時代は終わりを告げ、六十九年の「熱い秋」と七十三年オイル・ショックで「危機の時代」に突入しました。

 「奇蹟」と言われたイタリアの高い成長率は、千九百六十四年以降、次第に鈍化しました。継続的な経済発展に信頼を寄せていた経営者団体も個々の経営者も、賃上げを十分に抑制しようとはしなかった。同時に、公共部門も、政治的必要性もあって、生産性や財政負担をかえりみないで、賃上げを行いました。六十一年の国際収支は、黒字を計上していたが、六十二年には、それがなくなり、六十三年には、赤字になっています。とりわけ、六十三年の貿易赤字は、十九億三百万ドルに達しています。外貨準備も減少、一時は持ち直しかけたのですが、所得の向上が消費の拡大を招き、また、都市への人口集中が高品質の食糧・耐久消費財・自動車などの需要を高めるといった形での消費構造の変化をもたらした。そのため、輸入の増加によって、貿易・国際収支の悪化をもたらすという構造が作られました。

 特に、農業が脆弱なため、食肉不足がもたらされた結果、肉の輸入の増加が国際収支の圧迫要因となりました。東京経済大学の孫引きですが、日本と何か共通するものがあります。

 イタリアのスカヨーラ経済発展相は二十二日、「現政権中に原子力発電所の建設を始める」と述べ、千九百八十七年の国民投票で決めた原発凍結政策を転換する方針を表明した。結果としてIMFの管理下で再建を図ることになりました。

 今日本はTPPで混迷を深めていますが、そのずっと先にあるもの、人口の増加と食糧危機です。日本は外貨の手持ちを増やさないと手持ちの外貨で食料が輸入できず、大変なことになるかも知れません。

 農業従事者はその頃にはもうこの世に居られないでしょう。農協も存続しているかいないか分かりません。田圃を増やしても、山を削って全部農地にしたとしても、日本人の食べる食料の絶対量が足らないと思います。

 誤魔化し誤魔化し製造業を発展させても無い物は買えません。経済危機の現在は切り抜けられると思います。

 原発は必要悪で国民をなだめすかして再稼動させるでしょう。電力を製造業に順当に割り当てることは困難でしょう。

 一番心配していることは東海、東南海、南海の三連動の地震が近い将来に待ち受けていることです。原子炉が各地で事故に見舞われる。三十キロの危険地域で日本中に円をかいたら、其処には人はもう住めなくなります。六十キロ円で書くと怖い想像です。放射能は偏西風に乗って世界中が汚染されるかも知れません。

 文化は少しずつ崩壊に向かっています。経済も世界的に破綻に向かう事でしょう。

 物事に絶対し言う物はありません。頑丈に補修しても、それを上回る津波、地震が起きたら、人は家や工場に押し潰されたりして呻き、亡くなる人も出るでしょう。補修した原発は多分大丈夫というだけの事です。壊れた原発からは、人の健康を損なう放射能が出ます。

 放射能は無味無臭で触ることも出来ません。風に運ばれて、雨に含まれて大地を汚染します。少し罅の入ったような建物からも、住み慣れた土地から速やかに非難しなければなりません。山の木々も家庭菜園も汚染されて食べることも出来ません。

 絶対に大丈夫な構造物はこの世に存在しません。それを制御できると考えたのは妄想です。一旦事故がおきると、暫くは人が出入りできません。汚染された工業製品は使えません。原子炉は破色廃炉にするまで永い時間が掛かります。三十年も掛かるそうです。

 この度は一箇所の事故でした。地震の規模が大きくなると例えば日本で一度に五箇所くらいの原子力発電所が壊れると豊葦原の瑞穂の国、日本は不毛の土地になります。

 東京電力は厖大な保証金を支払うために国と相談しています。天文学的な数字に相当する金額です。保証金を貰って安堵する人は居ません。元の生活圏に帰りたいだけです。避難によって人間関係はズタズタに壊れました。

 原子力で発電する電力は当てにしては成らない電力です。

 目端の利く事業は外国へ出て行きます。出先のタイで洪水にあった企業は再開の目処が立ちません。踏んだり蹴ったりです。そして世界は深刻な経済不況に突入しつつあります。

 今般の不況は世界中に連鎖する深刻なものです。ギリシャはユーロが資本注入して、国民は予算のカットに呻吟しています。次いでイタリアがIMFの監視下に這入り経済再建に向けて縮小経済に入ろうとしています。

 日本がギリシャやイタリアのようになる可能性があります。何処が資本注入し監視してくれるのでしょうか。

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