不偸盗と並んで最も厄介な難しい問題

淫(いん)とは「ひたること」・「ふけること」・「度を過すこ
と」・「みだらなこと」・「男女関係がふしだらなこと」、あるい
は、淫行とか姦淫とか……、あまり得意な分野ではありません。
ここでは、よこしまで有害な男女関係や性的関係と戒について説明
しますが、結論は、大変に心痛するようなことはしない方が良い、
楽に暮らせることを説明したいのです。事と次第では地位や資産を
失うだけに止まらず、刑事事件にもなりますし、盗人と同じように
罰せられることもあります。禁止された場所で希少動植物を採取し
てはならないことに例えられるかもしれません。(田川純照筆記)

この項は人間の性に関する倫理
      特定の人を絶対に想定してない話

 明治以降において女性教祖も誕生していて、それらの宗教を支え
た人たちを、敬意をもって評価しています。
 私は神仏に対する「距離」や「帰依」という意味で、男女平等に
思っています。
 ですから、観音院の後継者についても男女は問いません。衆望の
有る人が選ばれて次の住職になられる制度ですが、寺院規則の何処
にも住職の性別について記載されていません。

 「男のくせに」とか、「女だてらに」とか、言うような言葉を耳
にすると、鳥肌が立ちそうなくらい嫌悪感を感じます。
 男は雄雄しくとか、女はしとやかになんて—-、どのような発想
の根拠があるのでしょうか。これらは、個々の性格や能力、態度な
どを表し、性別で決め付けられないものです。

 女性に対する蔑視観は仏教の経典にも含んでいます。女性は極楽
に往生(おじょう)出来ない、彼の地に往くには「変成男子の法」
を経て男性になって往生する。
 「彼の地には女人はおわさず」と説かれた高僧もおられ、これは
当時は男女平等という大切なことを考える時代的背景が無かったの
だと思います。
 来世思想として、彼の地では性別は無くなるなら、受け入れられ
やすく、変な特例を設けずに済んだと思います。

 女性は五障三従の身とは古い思想で、五障という煩悩・業・生・
法・所知の五つの道を修める上での障害があり、三従とは、女性は
実家にあっては父に従い、嫁しては夫に従い、夫の死後は子に従う
ことです。違う説もありますが、説明するのも馬鹿馬鹿しく、皆さ
んも既に納得されない考え方です。
 これらは、仏教だけの責任だけでは無く、印度のカースト制度や
中国の儒教などの影響も多分にあった程度に考えて、納得出来ない
思想や経典は改訂、または廃棄の必要があるかもしれないと思いま
す。

 男女間にあらゆる差別があってはならないと考えています。しか
し、現実は、国会議員の数や大臣の数、会社の代表者の数も圧倒的
に男性社会です。宗教界も男性社会になっています。
 このような現在の在り方は間違っています。この間違いを正すに
は、人間全ての反省と何処で何が原因でどのように間違っているか
考えたいものです。
 宗教については、結婚するとどちらかの家の宗教儀礼に従うとい
う、三従のような考え方が普通です。
 日本国憲法第二十条[信教の自由]は、国民の権利として保証さ
れ、第二十四条[家族生活における個人の尊厳と両性の平等]では、
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有す
ることを基本として、相互の協力により、維持されなければならな
い、とあります。
 さらには、男女共同参画社会基本法というものも制定されていて、
男女が平等に社会に参画することが求められていますが、未だに
「夫婦別姓」も法制化されていませんし、離婚後の女性の再婚禁止
期間、婚姻適齢など不平等以前の問題もあります。

 婚姻に因って信教を変更することはいい加減な信仰心しかもって
いなかったとも言えます。よくあることですが、親が死亡されて、
葬祭業者に宗教をたずねられて、親戚に聞いて親の宗教、乃至、家
の宗教を聞いて、葬祭業者にその宗派の寺院を紹介してもらって、
枕経の席で僧侶を紹介される、このように寺院や教会・宗教団体と
は無縁で生きている人も少なくありません。

 男女平等を前提としないと、私は不邪淫という戒を説けません。
信教の自由が保障されていない人にも無縁です。無神論だと言われ
る方は大歓迎です。少なくとも親の宗教を相続しておられません。
 檀家とか旦那寺、亭主・ご主人・女房・家内など、、疑問の多い
言葉が氾濫しているように思います。
 家は宗教をもてません。家族を構成する人の宗教が同じであるこ
とは大変に望ましいことです。しかし、信心は子孫に強制も贈与も
できません。

■不邪淫を説く前に、男女の平等と信教の自由について説明した
 いと思います。
 何時ものことですが、原稿に特定の人を想定していないことを
 納得してください。特定の人の話は致しません。

■檀家という概念も檀家制度も崩壊しました。信心の時代です。
 信心無き人は、檀家でも、信徒でも、何でもありません。
 僧侶を葬式坊主にしないため、皆さんの信心を起こすために
 説いています。

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鈴の法話 2002-8月号-2

皆さんの信じていたものは会社の社是や方針
      帰依の対象が変質したり崩壊しつつある昨今

 大企業の多くの社主は、み仏さまと同じような機能を果たして
来ました。社業として利益の追求を目的としながら、社会の一員
として公益性も自覚し、倫理観もあり、帰依するにも信心するに
も十分な価値がありました。
 NHKのプロジェクトXという番組を視ていると、現代の神々
が次々と登場します。どの人も格別の努力を払い、その誠実さと
か他人に対する思いやりなど神仏も顔負けされそうな感じです。

■第二次大戦後にはさまざまの面で有能な経営者が生まれて、
 その人は宗祖のように帰依され、多くの信者的人材によって
 会社が発展して来ましたが、企業が宗教の代用は果せないの
 は当然です。

 宗教団体の運営も、企業の経営に極似した部分があって、会計
方法は企業の複式簿記を真似たものです。

 観音院と一般企業の著しく異なる点は定年が無いこと、病気で
あれ、その他の理由で欠席しても給与は年俸制であること、個人
に対する職業訓練自体も目的としていること。傷病給付金を請求
した職員は皆無です。
 社会保険や厚生年金、源泉徴収税などは一般企業と同様です。
 権限は大幅に委譲(いじょう)されていて、本来ならトップで
ある法主や住職が代表権を役職員の同意無く、行使出来ません。
 割賦で物を購入したり、借金をすると辞職する申し合わせがあ
ること。
 有責離婚をすると地位を失うこと、法律に触れて、刑が判決さ
れると刑の執行が済むまで地位を失うこと。
 利益を目的としていませんので、入るは図らず出ずるを制して
います。
 特別に賞与などはありません。礼拝も供養も祈願も、仕事であ
ると同時に自己啓発なのです。
 企業と著しく異なる点–、他の寺院とも異なると思いますが、
観音院は信徒さんから選出された評議員五十名、責任役員十名、
監事三名で運営がなされていて、支障が起きていないことです。
 なおかつ、役職員の男女比は、圧倒的に女性が多いようです。
僧侶より尼僧が多く、役割も果す仕事の量も女性の方が男性より
優っているようです。
 百貨店に例えれば、顧客が仕入れ、値付、販売、宣伝の全てを
行っているような様式になると思います。会計は公開ですから、
原価計算も可能です。

 男女不平等はまだ社会の隅々に奥深く存在しています。本当に
男女平等が実現するためには法律の制定が必要だと痛感していま
す。組織は男女の構成比を同じにしなければならないと定めれば、
より良い世の中になります。
 雇用機会均等法くらいでは上手く行かないと思います。先ずは
国会やその他の公職くらいから選出枠を男女平等に、日本も昔の
ように女帝が就任されることもあるように望みます。
 男女同数の国会議員や経営者などの出現でないと、作られない
法律もあると思います。加えて、猥褻や邪淫の社会現象に対する
法律も変化が期待されます。

 不邪淫の戒律は、女性蔑視の産物のよに思われてなりません。
 離婚率が異常に高くなりつつありますが、結婚式が派手で大切
なような、通過儀礼のような、訳の分からないことになりつつあ
ります。
 子供の養育費は、国家が、支給と徴収を行えば、子供の不幸は
少なくなります。
ともあれ、国会議員の定員の半分が女性になれば、憲法に対す
る考え方も相当平和になると思います。自衛隊も警察官も検事も
判事も、あらゆる公務員の女性が半数になることが望ましいと、
私は考えます。多分、世界一平和を望む国家になると思いますし、
犯罪も減り、礼節の正しい国家像が期待できると思います。

 女性蔑視は長い歴史があり、現在まで続いているのは厳然とした
事実ですが、さまざまな角度から深く掘り下げて、本源的なものと
弊害を排除するよう努力しないと、男女同権の社会は実現し難く、
望ましい倫理も確立されないような気がします。

 最近、閉経後の女性は存在の意味が無い趣旨の誰か言葉を引用
された知事がおられましたが、このような恐ろしい考えは絶対に
持ちたくありません。
 更年期の女性は人によって個人差はありますが、手厚い保護が
望まれます。
 のぼせ、頭痛、耳鳴り、冷え性、情緒不安、月経不順など、他
人が想像出来ない本人の苦痛と困難があります。
 男性が初老からしばしば見られる前立腺肥大と同じことです。
排尿困難や頻尿、ウツ傾向などさまざまな苦痛や困難があります
が、両方とも医師のホルモン投与や治療で良い結果が得られるこ
とが多く、あれこれというほどの問題ではありません。生涯には
色々な事柄があります。

 女性の妊娠出産は大きな負担ですが、男女双方の問題であり、
育児などは男性にも責任を分つべきです。家事などは男女双方の
担当すべきことです。
 身体的な相違や分担は、女性蔑視の理由にしてはなりません。
男女共に家畜ではありませんから繁殖能力の有無でもって有用性
を説いてはなりません。
 人を性別で優劣を決めるは、野蛮な考え方です。高度な文化を
持つ人が人と動物と一緒にしてはなりません。

■最近、企業によっては一般職を廃し、女性も男性と同じよう
 に管理職に就けるような制度が作られつつあります。しかし、
 決して傾向とまでは言えず、早く男女平等の社会にと望みます。

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鈴の法話 2002-8月号-3

ジェンダーは社会的に定義された性
    セックスは生物学的に定義された性

 私は、男女の性差が社会学的に考えられ、昔の昔から邪淫と言う
概念があり、仏教において「不邪淫」として戒められていた事実に
注目しています。
 最初に、淫(いん)とは「ひたること」・「ふけること」・「度
を過すこと」・「みだらなこと」・「男女関係がふしだらなこと」、
あるいは、淫行とか姦淫とか……、あまり得意な分野では無いと
申し上げました。
 そして、「よこしまで有害な男女関係や性的関係」などについて
心痛しておられる多くの皆さんからの相談を受けていますが、
不邪淫は大切な戒だと思います。
 社会に対する男女の在り方は、平等でなくてはなりません。男女
相互の責任も義務も平等です。

 女性蔑視以前の問題として、性教育の充実は非常に重要で緊急の
課題です。
 性教育と同時に、避妊方法の教育もいまだ十分ではありません。
全く知識の無い幼い年齢での妊娠は悲劇で、親も本人も知らない間
に妊娠七ヶ月とか、近親相姦などは相談にも乗りようが無い事柄で、
それでも相談に乗れて上げれば最善の助言は不可能ではありません。

 「性病についての教育」は緊急な課題です。カユミ、痛み、おり
もの、外形の変化、臭いなどについて、家族の保護的な観察は勿論
必用ですが、免疫が落ちた場合の真菌の繁殖なども、本来真菌は誰
でももっている常在菌ですが、強いストレスにさらされたりすると
酷くなって皮厚したり痕跡が残ったりします。
 抗生物質などの普及や治療法の進歩で、見かけなくなったような
感じのする淋病、梅毒、クラジミア、トリコモナスなども流行って
おり、良いと思われている家庭にも感染している場合があります。
 特別な性病を除いて、医師の適切な治療を受ければ、簡単に治癒
しますので早期発見、早期治療が大切です。

 疲労した際に、陰部に大豆くらいの腫瘍が十個くらい出来て、膿
が出ると自然治癒する「陰部ヘルペスⅡ型」は厄介で、発症すると
対症療法しかなく、健康な時はリンパ節に潜んでいて、根治が難し
い性病もあります。出産の際に感染する場合もあるので、感染する
と免疫を下げないよう生涯注意しなくてはなりません。激痛を伴い
ます。
 性病が家庭に持ち込まれた場合は、一緒に治療を受けないとピン
ポン感染で、意味がありません。
 男女の最初の触れ合いで健康診断書を交換するくらいの慎重さが
マナーになることを願っています。、
 金銭の交付によって性関係をもつことは、性病の家庭内持込みに
つながります。
 これらは性病を患うことは、総じて邪淫の結果と考えて、衝動的
な行動はしない生活習慣を身に着けてください。

 その他、家庭内でも相手の嫌がる行為をなすことは邪淫に分類さ
れます。
 他にも配偶者に悪戯で手錠を掛けたり縛ることは、行き過ぎです。
 結婚前に如何なる巧言を尽くされても、裸体の写真を撮影されて
はなりません。万一、そのような過去があっても脅迫の材料にはな
りません。警察に届ければ回収も可能です、心配はしなくても良い
のですが、怯えないことです。

来世はどうなるか、女性の心配
        地獄、極楽は地球上にあります

 女性が、死後に、女性のままでは極楽往生ができないという説は
妄想です。
 一万五千年昔、人の起源、おそらくは原人と言われていた時代に
は、宗教も葬祭儀礼も無かったと思います。生命の危険が大きく、
天国も煉獄も極楽も地獄も身近に感じられていたでしょう。
 前世、現世、来世を考えるようになるには、相当な時間が必要だ
ったと考えられます。地球の誕生以来、生物らしきものはクラゲ類
でした。皆さんのご先祖がクラゲと申しているのではありません。

 私が説く来世についても、丸飲みにせずに、良く考えてください。
 来世があるならば、死んでから生まれ変わるまで、肉体はもちま
せんので生殖行為はありません。霊魂は性を喪失していると考える
のが自然です。
 この世に輪廻転生(りんねてんしょう)する際に性別は選べませ
ん。この際に因果応報(いんがおうほう)であるとしたら、現世で
善行を積んだ人は、来世で良き環境に恵まれるでしょう。
現世で悪しきことが多かった人の来世がどのようになるか知りま
せんが、犬とか牛などの動物に生まれ変わることは考えられません。

 供養というのは、来世で良い人間関係に恵まれるよう、良い機会
が与えられるように徳を贈ることです。

 観音院の本堂の中央にまつってある「大日如来」は太陽を象徴し
たみ仏です。
 太陽系惑星群の起源となるみ仏で、創造主にも例えられましょう。
皆さんのご先祖さまの起源も現世も来世も末世までも強い干渉をな
さるでしょう。
 来世についての話、女性の地位向上の課題、前世やご先祖、葬送
の儀礼などについては、機会を改めて私の考え方を申し述べようと
思います。

■車内等で痴漢として腕などを持たれ、身に覚えが無い時は、
 終始一貫して、徹底的に否認しましょう。
*痴漢と誤解されるような行動を取らないことが一番大切です。
 痴漢が多いのも事実です。

■性的関係は “当然”以外は、全て邪淫です。当然とは誰にも非難
 されない関係にあることです。
*猥褻な話は、猥褻な雰囲気を作ります。噂話は絶対にしない
 こと、人として失格することになります。

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