み仏さまにお供えするお花

■み仏さまにお供えする花についてよく質問を受けます。

 トゲのある花は駄目とか、薔薇は大丈夫か、真っ赤な薔薇でも私
なら歓迎です。後で掃除をする人が怪我をしないようにトゲは除い
ておいてくださる方が嬉しいです。
 もちろん白い薔薇も歓迎、黒い薔薇があれば楽しいですね。
 百合の花はオシベの花粉を除いて供えます。あの花粉が着くとお
客さまの衣服の繊維が染まり、色が落ち難いので困ります。

 白い菊の花、清潔で香りも良く、葬儀の飾りつけに多用されていま
すが、お別れのイメージが強くなり過ぎました。なんか涙が出そう
で、これは一工夫欲しいですね。
 胡蝶蘭なんか素晴らしいと思います。あの様なのなら一本でも可。
 お墓用として束ねて売っている花は少し味気がないです。最近は
野辺の花もありませんし、都会では難しいことになりました。
 悪臭を放つ花や食虫植物は珍しくても供えないでください。

 造花は昔からお供えしています。
み仏さまにはおそらく仏像が造像されると同時に造られたのではな
いかと想像しています。み仏さまの多くは蓮台(れんだい)の上に
乗っておられます。
 み仏さまの脇に飾られるお花は「常花(じょうか)」といいます。
 多くは蓮(はす)の花や葉で、九本立てから十七本立てまであっ
て木製に金箔を施したもので、高さ三尺(九十センチ)で一対が約
五十万円から六十万円くらい、彩色の木蓮華はもう少し高いようで
す。精巧な牡丹の常花は倍くらいの価格です。
 これは大変な美術品で岩絵の具で彩色されていて、荘厳すること
に重点がおかれています。

 それ以外に観音院では高野山から高野槙(こうやまき)を取り寄
せてお供えしています。高野槙は高野山の御廟の参道の周囲のお墓
にも沢山供えられていて、お土産にもなって売られています。水を
絶やさないようにすると、とても長持ちする有難いお供えです。

 造花のお供えの可否については考え方としては、み仏さまが「蓮
台」に乗っておられるから可、と申しあげましたが、私個人の好み
としては造花です。
 手入れが簡単で豪華で長持ちをします。鉢植えの花は土にいろい
ろと虫が住んでいたりします。お客さまには花粉アレルギーがある
方もおられまして、気を使います。

供花の目的は、追弔(ついちょう)と自己満足
           み仏さまの荘厳と義理など

 葬儀の際の供花は、死者に対する敬意や、感謝、親戚付き合い、
会社関係の弔意を表すもの、単純に秘書が打たれる国会議員の弔電
のような性質のものと、いろいろです。
 山のように花を飾り付けて、あれは感じの良いものですが、何処
から見ごろの花が調達されるのか不思議でしたが、農家の転業作物
だったりして人助けになります。
 実をいうと、どのような形式が一番良いのか知りません。世の中
は進歩していますので、多分、み仏さまは、その時々のもので施主
なり喪主の経済力相応のもので喜んでくださるでしょう。

 葬儀などは本当はどのようにして欲しいのか、本人の遺言がして
あると良いと常々思っています。

 私(鈴之僧正)の遺言は簡単です。死んでも騒ぐな、慌てるな、
日常法要の内で居合わせた人たちだけで見送り、香典、供花は一切
受け取らず遺産は全部寺に寄付、身の回り品は欲しい人に形見分け、
魂魄(こんぱく)この世に留めて涅槃に赴かず、皆さんの祈願が叶う
よう助け、死して迷う霊魂あれば道案内をすることに決めているの
です。
 告別式や葬儀で無理矢理あの世に送らないことが鈴之僧正本人の
希望です。
 昔、祈願中に抜けた奥歯の一本が純金で飾られた厨子(ずし)に
入れて置いて逝くので、懐かしむ人はそれを見て願望を掛けてくだ
さい。
 鈴の命日は、祈願請負の日にしてくだされば本望(ほんもう)。
「緋(ひ)の衣」は細かく裁断して欲しい人に上げると良いと考え
ています。精励努力した精神で強く守ってあげたいと思います。
 今月は原稿が足りないそうで、頼まれて書きました。「鈴」

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