どんな時でも、自分自身を殺傷しない

今年は自殺者が年間三万人を超える勢いです。交通事故死の何倍もの人が亡くなられています。人の生死に関わっている者として、どちらも痛ましいことです。ご遺族の流される涙と共に私どもも泣きます。どちらも現実の時が止まります。特に高齢者や働き盛りの人の自殺は引導の渡しようもありません。何故に死んだか、説明の付けようも納得のしようもありません。

  死は悲しいもので、誰も生まれてきた以上は全ての人が避けらけないことですが、予期せざる死は、遺族の心がいつまでも整理できません。

  最近は、誰でもよいから人を殺傷したかったと言う凶悪犯罪の被害者も目立つようになりました。どうして、このようなことが起きるのか–。最近、切れ易くなったと言われますが、切れて殺傷されては、堪ったものではありません。自分自身を殺傷せず、他人を殺傷しないのは佛教の第一の教えです。
観自在編集部

自殺の相談を受けて死なれたのは二件
死ぬると言って死ぬる人もあります

 その人は、私(法主)が小学校の時からの親友のお兄さんでした。小学校と中学校時代、それ以後も親密な付き合いがありました。

  友達のお兄さんは何故かお寺に再三遊びに来られるようになりました。

  そのお兄さんは失業されていて時間がたくさんあったようです。その方は、当時の日本では、レッドパージと言う占領軍の指定に含まれて、企業には受け入れられなかったのです。

  何故か私を可愛がって下さり、マルクス、レーニンなどについて教えてくださり「共産党宣言」などを懇切に説明してくださっていました。

  何年も交際は続きましたが、ある時に「死にたくなった」と一言漏らされ、それで私は「死ぬと言って死んだ人はいない」と申しました。

  その夜、その人は鉄道に飛び込み自殺をされました。大変に悲しい思い出です。爾来、そのような軽率なことは今日まで言ったことは御座いません。

  友人は今年早春に病死されました。奥さんが転居するとご挨拶に来られて知ったようなことです。約六十年間の竹馬の友でした。葬儀をしてくれ、と依頼されていたのですが、それは、ご遺族のご存知無いことでした。

  友達は商売人として早くに成功し、そして倒産し、その時五万円を見舞いに持って行きました。友達や取引先などで私一人が見舞いに来たとのことでした。大変に喜ばれて、以来毎年、職員全員が食べきれないないほどの「おはぎ」を持って来てお供えされました。

  倒産後は友人は私一人だったと申されていました。死亡後に家族に渡してくれと遺言書を託されていました。

  遺言書に何が書いてあったか存じません。

  彼が、私に言い残した言葉は「先物と株はやるな」と言うことでした。

  彼は生前に、私に「決して自殺はしないで、と言われたことを守って生きて来た」と言ってました。

  もう一つの私が関わった自殺は電話相談で、自殺と保険給付、免責期間の事などです。親の経済的破綻を、子供さんが、自殺の保険金で親に役立ちたいというもので、いろいろな自殺と周囲の人の悲しみなどについて話して、結論として、すっかり落ち着かれて、翌日は観音院に来ると笑い声で約束してくれました。

  そして翌日、ホテルから窓から飛び降り自殺、ホテルの枕元に私方の電話番号が有って連絡がありました。

  それからいろいろ大変でしたが、直ぐに駆けつけていれば、助かったかも知れないと大変後悔しました。

  両方とも、私の及ばなかったことですが、私のPTSD(心的外傷後ストレス障害)になって何時までも癒されることは無いと思います。

  殺人事件にまで発展したケースは、嘱託殺人が一件、愛情関係が一件ですが、こんな経験を積んで、人の相談に乗れるようになります。

  暴力や刃傷沙汰は数え切れませんが、幸い大きな事件はありません。

  欝状態で切れる方は多くあります、それも梅雨前後は注意期間なのです。

  感情が制御できなくなり、他人を殺傷してしまう、これはお医者さんとに研究してもらう必要があります。心神耗弱における人間の行動は、予測すら付かない場合が多いようです。

  幸い多くの面談相談では、良い方向に向いてくださり、年に三千件強、相談事例は十万件を超えました。もちろん自殺の相談はその一部です。はっきりと、和尚さんと話して生きる勇気が湧いて来たと言われると嬉しいです。

■皆さんの毎日が平和で安全で清潔に心配事が無いように過ごされることを願いながら生きております。

  運転は出来ます。モミジマークを付けていますが、実際は若い職員に大半運転してもらっています。

  他人の運転する車に乗せてもらって気が付いたことがあります。制限速度を守らない人がとても多いようです。

  一旦停止も守らない人が多いです、駐車違反も多いですね。信号が黄色でも、速度を落とさず交差点に進入する自動車もとてもよく目にします。

  一寸心の隙間ができると、人身事故になったり、車に速力があると死亡事故になります。最近は罰則も厳しくなりました。人身事故を起こすと後悔しても反省しても苦痛は軽くなりません。

  特に飲酒運転は絶対にしないように心に叩き込んでください。

  お酒を飲む人は飲んでいない時でも何か神経に影響があると思います。

  私も運転には自信があります、注意力が落ちているとは思いませんが、今後はなるべく若い人に安全に注意して慎重に運転してもらうつもりです。

  便利さで、不殺生というみ佛さまの戒律は犯したくありません。ドライブを趣味にしている人がいますが、楽しいドライブは楽しいだけ気が緩んで、注意力が落ちています。油断も生じています。車の運転は慎重に、十分に気を付けてなさってください。

  観音院の近所は全部、制限時速二十キロです。一方通行もあります。

  市内で法定速度を守っても、飛ばして走る人も、結局はせいぜい信号一つくらい早く走れるだけです。

  「交通安全のステッカー」を信徒さんに上げていますが安全運転して下さい。
心の病気がある人は、医師の投薬に従い、几帳面に薬を飲んでください。勝手に止めると自分では判断できない行動を起こす場合があります。

  子供さんの保護者は、子供さんが急に道路に飛び出したりすることがあります。学校でも、交差点などでは信号を良く見て、左右を確認して渡る教育はなさっています。しかし、保護者と一緒に行動する時に、実際に学校での教えを守れないことか多いのです。

  観音院の職員は就職して三ケ月以内に「食品衛生責任者」と「防火管理者」の資格を取得してもらっています。それほど難しい資格ではありませんが、全ての人が取る前と取った後で考え方が変りましたと言われます。

  本当は高校の履修義務のある資格にしてもらえば、食中毒や火事を減らすことになると確信します。

  綺麗好きと清潔は関係がありません、資格を持つと、自分のしていることに欠陥が有ったことに気付かれます。

  観音院の厨房は、清潔管理がなされている台所です。防火についても同じことが言えます。

  就職試験を受ける前に二つの資格を持っていれば、就職に有利です。パソコンの好きな人はオフィスが使える、ホームぺージが作れる、フォトショップやイラストレーター、ショックウエーブが使えるようになっていると即戦力として有利です。簿記を知っているとより良いと思います。

  私の信条は、刻苦耐労、剛健弘毅、生涯勤勉、団結奮闘、報恩積善ですが、簡単に言えば「いたわり、慈しみ、思いやり、あたたかい心、相手の立場で考える」ことです。

  この精神の基盤は、十善戒、つまり不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不綺語、不悪口、不両舌、不慳貪、不瞋恚、不邪見から来ていますが、生きるには「み佛さまの縁」が必要です。縁の無い人と関わると、十善戒を保つことが不可能になります。

  清潔に生きるには、縁有る人を徹底して大切にすることです。

  私は小学六年生で原爆により一切を失い、病気がちな両親と弟妹が居て、アルバイトも沢山しました、大半が焼け跡に穴を掘り、瓦を埋めて平地にする労働。実は弟である現住職も親から学費などを頂いたことはありません。

  貧乏も経済危機もありました。でも皆さん大丈夫ですよ。「刻苦耐労の精神」があれば先ず大丈夫です。

  何があっても、真面目に働き、「世のため、人のため」を考えていれば、仕事は必然的にやって来ると思います。 敗戦時を経験した人たちは、逞しい人が多いと思います、艱難辛苦は人を育てます。

  苦労しながら他人を思い遣れる人間に成れれば良いですね。戦前の教育と戦後の教育、両方体験できた人は幸せだと思います。飢餓を経験すると物を大切にするようになると思います。

  戦後の復興期を体験している人達が未だ沢山生きておられます。

  多くの企業が大変です、働く人も大変です。しかし日本は苦労をした国家です。大丈夫と思います。

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