お彼岸法会は日本に伝わる古い歴史的行事です

■源氏物語に彼岸法要のことが書いてあるので、平安時代初期には
各地の国分寺で営まれていたようです。日本独特の仏事で、中国を
経て伝来した行事ではありません。
▼おそらく観無量寿経の日想観に西方に阿弥陀如来の世界があると
信じたのでしょうか。
■彼岸は梵語(ぼんご)の「波羅蜜多(はらみた・パーラミター)」の
訳で、正しくは「到彼岸(とうひがん)」と称し、生死輪廻(しょうじ
りんね)の此岸(しがん)を離れて、涅槃常楽(ねはんじょうらく)
の彼岸に到達すること。難しいですね。

▼今風に言うなら、彼岸のお参りの際にご先祖さまの前で「私はど
のように生きるか、何を目標としているか、どのように死んで行く
か」考えて見てください。
分からなかったら、お寺に寄って住職さんに会って「どう考えるべ
きか」相談に乗ってもらいなさい。こんな難しいことを聞くのです
から謝礼を持って行くべくです。一時間につき一万円くらいはお供
えするのが社会的儀礼でしょう。時間があれば読経してもらい、経
典の意味も是非とも教えてもらいましょう。僧侶は生死については
専門家ですから、きっとお役に立ちます。
▼もっとも、お坊さんが常々法話をしておられる場合は思い立って
急にお坊さんを家庭教師にしようとされるのは無理な相談です。

■昔、偉大な人物が不遇の生涯を送ると、怨霊(おんりょう)となっ
て自然災害や疫病を流行させることもあると信じられていました。
菅原道真公はその代表的な人物で、怨霊を鎮(しず)めるために天
満宮が建立されました。時代によって宗教観も色々と異なっている
ようです。

▼「お盆」は亡き人々の供養を主としていますが、「彼岸」は現世
で生きている人々の考え方が最大のテーマになっています。
死後は「お浄土」に往生(おうじょう)したい、そのために何をす
べきかが大切になります。

■日本は圧倒的に仏教徒が多く、仏教の教義はとても自然で平和的
なものです。大半は仏教徒と言っても過言では無く、にもかかわら
ず戦国時代のような歴史もあり、明治以後の日清・日露戦争・第二
次大戦と、理解し難いこともあります。
▼仏教徒に限らず、全ての宗教は平和を願い、争いを避けているは
ずなのですが難しいですね。

思うようにならぬこと

■世の中は大半のことが思うようになりません。特に親兄弟や子供
を思うようにしたいと願うと大変です。それぞれ別の人格があり、
価値観も能力も体力も知恵の程度も異なります。

夫婦が仲が良いことも望ましいことですが、結婚する時は双方納得
の上でも、記憶力も異なり、努力も異なる、育児や経済観念も異な
る、次第に差異が生じて当然です。だからといって一々差異を指摘
したり、離婚したりすると世の中は滅茶苦茶。我慢に辛抱、諦めが
肝心です。

▼いわんや、親は選べないし、子は親の所有物でもありません。最
近の子供は携帯電話は持っているのが普通だし、インターネットは
やる。生活様式が目まぐるしく変化していますから、相互に理解で
きないことも沢山あります。
ある程度の協調は必要ですが、どうにもならない場合は諦めた方が
良いようです。成人に達するまでが、親が保護する義務があると考
えて欲しいものです。
老後を子供に依存すると、悲惨なことになる場合が多いようです。
期待しないで子供を大切に育てることです。
▼親子二世代で返済する住宅ローンがありますが、世の中の変化が
激しいので利用しない方が無理が起きないようです。子供の将来の
住居地を拘束することは、それだけ子供の将来を規制することにな
ります。自由度が大切です。

▼友人関係も、雇用関係も、全ての人間関係は、なすべきことをし
て大きく期待しないことです。「親切」は自分のためにするもので、
押し付けられると大きな迷惑です。

▼沢山の相談の中には、裏切られたとか、騙(だま)されたという
恨み事がありますが、「期待」は強制執行付きの公正証書くらいで
ないと思い通りにならないものです。
他人にして上げることは、純粋な善意でなすべきで、決して恩返し
を期待してはなりません。ご恩を感じることは大切なことですが、
世の中には「恩」を全く感じない人もいます。そのような人に執着
すると辛い事が待っています。

■人間は全て「明日をも知れない」身の上です。過去に執着すると
ストレスが溜まります。
▼過去のことは忘れて、今日から一歩一歩努力して明日を迎える、
そのような気持になれば気が楽です。こだわりは無駄です。

■お彼岸は、生涯の目標を確立することそのものです。法律に触れ
 る ことをしない、できるだけ優しい人になる。他人を当てにせ
 ず自立する。世のため人のために尽くしたいですね。

■全てのものは自分の期待通りにはならないと思い諦めるなら、裏
 切られることも無く、辛い 思いをしなくて済みます。確実なも
 のは何一つありません。自分で幸せを築くことです。

困難に負けない

■戦後の焼け跡、住む家も無く、電気、水道、食べ物も無く、貯蓄
を封鎖されて、愚痴を言いたくても相手も居ない。学校も病院も公
共施設も無い。多くの日本人は焼け跡、闇市から出発しました。
警察署もありませんし、軍隊は解体されました。加えて、働き手
が亡くなられて無収入の世帯が大半となってしまいました。

▼それでも焼け跡にしだいに人が集まりバラックを建てて済むよう
になりました。みんなで協力して電線を引っ張り、バラックに電灯
の明かりが点いた時の嬉しさは格別でした。
■経済は好況でも不況でも停滞でもなく、銀行も郵便局もありませ
ん、経済は有ったような無いような状態でした。無秩序といえばそ
の通りですが、概して道徳は維持されていたように思います。
■日本の都市の大半は大体似たようなものでした。あれから五十六
年、今日の日本を予想できた人は誰一人ありませんでした。

■当時一番困ったことは、心の拠り所を失って体制不信になってい
たことです。その後、民主主義も随分と誤解されて、多数決で明日
の天気が決められるような雰囲気もありました。
観音院は多数決で運営していますが、原則として一人でも反対があ
れば議決を執行しないよう留意する形に発展してきています。

▼戦後の発展ですが、算盤から計算尺、手回しタイガー計算機、真
空管式計算機、機械語のパソコン、MSDOSのパソコン、後は皆
さんご存知の通りです。
先般、檀信徒情報(非公開)が二十万件で設定してあったのが溢れ
まして、領域を倍にしましたが、このような事態は想像も出来ませ
んでした。

■バブル崩壊後の失われた十年と、その後の停滞も心配しないで、
皆さんはきっと乗り越えられると想像しています。
心配なのは世界経済で、これは日本一国の努力では如何ともし難い
ところがあります。
▼日本の通貨は未だ〇が四つしかついていません。これが六つも七
つもつくと大変です。

■してはならないことは戦争ですね。大変な浪費と多くの殺生を伴
います。人間は生きて行くことに価値があります。日本を戦争に参
加させることだけは絶対に防ぎたいものだと思います。

▼次に大切なことは、自殺しないで頑張ること。生命は絶つことが
出来ます、物は失っても再度、入手することができます。
生命は享(う)け難く、何ものにも代えられません。死ぬほどの思
いなら何でもできることを確認しましょう。生き抜くことを優先し
て考えてください。

構造改革は各自の改革

沢山の特殊法人が廃止または改革されます。不良債権処理で倒産す
る企業も出そうです。失業者も増加しそうです。
勉強と知恵と技術革新で生延びてください。人生は常に敗者復活の
機会に恵まれます。

■会社の倒産やリストラを恐れていては日々が過ごせません。七十
歳を過ぎてワードやエクセル、タグの勉強、FTPに挑戦している
環境調和型の人も知っています。

▼何でも良いですから良く考え、良く知識を集め、良く本を読み、
他人の意見も聞き、怠惰を廃して努力してください。勤勉と誠実と
学習を繰り返して行けば怖いものはありません。勇気を奮い起こし
て生き抜いてください。

彼の岸に皆さんそろって渡り切れるように、み仏さまに熱い祈りを
捧げます。皆さん元気になってください。

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