絶対に生き残れる方法かある  一言でいえば大和魂のようなものだ

【寅さん】 景気がもう一つパッとしないし、この前は百五十年も続いた伝統工芸の仏壇屋さんが自己破産した。最近の仏壇は輸入材料も沢山使っていて、円安のせいで材料が高値安定し、各家庭は仏壇を置かなくなったことが原因らしい。古いビルは借り手が無くて家主は改装しないと借り手がつかない。五十代や六十代が何かのはずみで離職すると、そこから先は仕事が無い。年金の給付を受けるには、かなり先のことになりそうだ。どうすればいいのかな。

【院家さん】 心得ておくべきことは、為すべき仕事を失わないことだ。自己破産するにしても、まだ余裕があるうちに自分一人で出来る仕事くらいを残しておいて、整理すると良い。真面目で誠実であれば、一家族が食べて行けるくらいの仕事は残してくれることがある。
とにかく現在の職を続け、少々面白くないことがあっても、退職を考えないことだ。転々とする毎に仕事は面白ない方向に行くものだ。生きて行く上には頭を低くすることが何よりも大切だと思うな。

【寅さん】 ハローワークに行って見たが、この年齢になると安い給料で雑役くらいしかないな。若い人が幾らでもいる。使う方で見れば、若い人の方が良いなあ。歳をとればひと癖できるし、使いにくいのは良く分かる。
現在職に就いている人も自分の生産性以上の給料を貰っている人はいずれ職を失う。官公庁に勤めている人はどんなに上司に合わなくても絶対に辞めないでほしいな。公務員ぐらい堅い仕事は他に無いな。

結婚している人は離婚は考えない方が良いよ。一人で生活していける仕事は、なかなかありません。健康な間はアルバイトやパートでもやって行けそうに思えても、病気や怪我で具合が悪くなったら生活保護を貰わないとやっていけなくなるよ。

【院家さん】 寺にも仕事の相談はあるな。寺男として置いて貰えないかと言う相談が時々あるな。今どき寺男なんて仕事は皆無だし、寺男に住まわせる場所も無い。出家したい人も尼さんになりたい人も幾らでもおられるが、考えが甘すぎる。一人の人を養うには、般若心経を毎日三百巻は唱えなくてはならないな。般若心経一日三百巻唱えることが出来る人は、無理に寺に入らなくても何処でも生活が出来る人だよ。最近はお寺もIT化されていて、フェイスブックで私のお友達は四千人を超えている。手元を見なくても寺の職員は誰でもパソコンが扱えます。昔は良い人はいないかと求人らしきご相談もあったけど、今は全くありません。

お寺の仕事はしんどいな。一年三百六十五日、休みが無い。時間外でも人が亡くなられると、真夜中の十二時にだって枕経を上げますよ。よく拝まないと供養も祈願も効きません。御霊験を引き出すには、命懸けの礼拝が必要です。つまり、大和魂の世界です。労働基準法なんて適用外だし。

続きは、平成27年12月号  観自在 をご覧ください。