【寅さん】 昔は盛大に豆まきをやっておられたが、どうしてされなくなったの。
【院家さん】 昔はね、撒く豆や信徒さんの家庭に眠っている不要な物等を持ち寄って頂き、豆まきをしていたの。ところがね
、その中に固形石鹸や瀬戸物の灰皿等が紛れ込んでいて、それをまともに頭に受けた人はたん瘤が出来て気の毒だった。それに、観音院の衛生観念では豆を直に撒いて拾ってもらう事は良くないと考えた。
【寅さん】 それで福豆と言う箱に入った大豆がもれなく貰えるのか。確かに衛生的で怪我もせずに済むね。それと厄除けご祈願した人は全員大きなお菓子の福袋が貰えるようになったのは嬉しいな。でもあの豆まきの燃えるような興奮は捨てがたい魅力が有ると思うよ。
【院家さん】 何はともあれ信徒さんの安全が第一。豆撒きで人が押し寄せて押しつぶされそうになったり、食べ物を晴れの日に撒くと言う習慣は改めた方が良いと思うよ。費用は現在の方がうんと高くつくな。安全で衛生的な事を考えると、そんな事は言っておれない。
【寅さん】 豆を撒く人が興奮状態になって撒かれる事は確かに危険だ。
【院家さん】 何はともあれ参詣されて、祈願された人が大体同じようなお接待を受けられるようになった事は望ましい。
観音院には萬倍様のという神様が居られて、観音院のマークは萬倍様のシンボルマークでもある。去年から七福神様をお祀りしたが、観音院では特に「萬倍七福神様」と言う。
【寅さん】 萬倍と言うのは御霊験が萬倍と言う事かな。七福神の御霊験が萬倍あると伝えられるのはとても頼もしい。
【院家さん】 それにしても、この忙しさは僧侶として尋常ではないね。