寺には山の上にもなくても山号が有り 戒名のように院号の上に寺号があるのです

観音院の山号(さんごう)は合法格物致知山(ごうほうかくぶつちちさん)と称しています。
 合法とは「仏法」にかなうことで、この場合は法令または規範にかなうことを意味しません。
 格物とは「礼記」大学編の、いわゆる八条目(格物・致知・誠意・正心・修身・斉家・治国・平天下)の一で、朱子学では、物の理にいたる、と読み、事物に本来そなわる理に窮め至ることと解しました。
陽明学では、物「事」をただす、と読み、心の良知を発揮することによって事柄のあり方をただすことと解しました。
 致知とは、後天的知を拡充して自己及びあらゆる事物に内在する個別の理を窮め、究極的に宇宙普遍の理に達することを目指します。
 世間の人々は略して、通称「合格山」と言っておらます。

 永徳寺という寺号(じごう)は、弘化二年(一八四五)に出版された「広島城下絵図」に既に見えます。
寺の名前は、長ければ良いと言うものでもありません。
「合法格物致知山 永徳寺 観音院」と言われなくても、やはり「観音院」が親しみやすいですね。

 古きが故に、尊いものでもなく、格式なども皆さんが思われるほど意識していません。
敷居を低くして、どなたでも気軽に出入りされ、皆さんのお寺として、今どう在るか、これからどのように運営されるかが大切と考えています。
 そのような意味では、古きを語ること無く、現実を直視して、清潔で、大衆参加型で、世間のお役に立てる寺院でありたいと、改めて思います。