今回はページの都合により、縮小版でお送り致します。
前々回は行の開始時に華香炉(樒)を持ち、一同揃って投地礼をするところまでお話をいたしました。
ここからは、加行の進行度により作法が変わって来る所が有るので、全体に共通した部分を掻い摘んでお話いたします。
投地礼を終えたら上体のみを起こして、座の左手にある脇机に華香炉を置き、壇正面に設置してある「半畳」と呼ばれる畳の上に座る事になります。しかし、何も考えずよっこいしょと座ってはいけません。
投地礼を終え、膝をついた状態のまま体を少し左に向け、右手で半畳の右角を掴み、右膝からにじりるように体全体をズズズっと引き上げて行きます。
下りる時はその逆回りで、左足から順に体を回すようにゆっくりと床に落としていきます。
何故このような上り方、下り方をするのか不思議に思っていたのですが、考える時間と実際の体験は大切ですね。ある時ふと正しいかはともなく、この作法の意味を見つけることが出来たのです。
加行が進むにつれて寒さと一座毎の時間は増し、行法で二、三時間身動きが出来ない事もざらになります。
そんな中、行法が終ったからといきなり立ち上がれば、固まった体の筋を痛める可能性や、勢いづけて上げた体を足で支える事が出来ず、倒れてしまうかもしれません。
それを避け、固まった体を少しでも解すために着座の作法があるのではと考える次第となりました。