佛教談義

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世間の目

ご隠居 「この私が悪人に見えますか?」 昨年暮れから、耐震強度偽装で世間を      騒がせている渦中の人物がテレビカメラにむかって堂々と胸をはってみ      せた。 寅さん しかし、あの顔は、誰がどう贔屓目(ひいきめ)にみても善人の顔...
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反省しつつ、より善く生きる

 仏教の経典は、お釈迦さま在世のあいだ、ご自身で書かれたものは無く、お側にお仕えした弟子たちが聴聞(ちょうもん)した内容を結集(けつじゅう)等で後世に伝えるためにまとめて書き留めたものが多く、「如是我聞(我、是の如く聞けり)」という書き出し...
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飲酒の戒

 「未曾有(みぞう)経」というお経のなかに、以下のような話が載せられている。  あるとき、祇陀太子(きだたいし)が 仏にたいしてこう言った。 「仏は その昔、私に、五戒(在家の仏教徒が守るべき五戒・不殺生、不偸盜、不邪淫、不妄語、不飲酒)を...
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お洒落なほとけさま

ご隠居 前月回、羅漢(らかん)さんの質素な身なりにくらべて、諸菩薩さまのほ     うは概して優雅で華美なよそおいをしておいでだ、といったが、じつは大     日如来も、お洒落(しゃれ)にかけてはけっして菩薩に負けてはいない。 寅さん へえ...
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十大弟子と阿羅漢

ご隠居 釈尊のもとで修行した弟子の人数は、千二百五十人であったと言われてい     る。 寅さん へえ、意外と少ないんですね。 ご隠居 一億二千万人の大半を仏教徒がしめる現代の日本人の今の感覚からすれば     たしかに少ない感じがしな...
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「アラカン」さん

ご隠居 きょうは少し羅漢さんのことについて話してみようか。     羅漢(らかん)、正確にいうと阿羅漢(あらかん)といい、応供(おうぐ     =尊敬され供養を受けるに相応しい聖者という意味)、殺賊(せつぞく=     煩悩という賊を殺すと...
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洋燈の中に弘法大師

「佐賀県 三養基郡 南茂安村 大字西島なる今泉弥平夫妻ほか九名は、去る九月三十日より、弘法大師新四国めぐりをなし、翌十月五日に帰村したれば、右弥平方にて振る舞いにと、皆みな相集まり飲食し居りたる際、点火した洋燈(ランプ)のホヤ一面、油煙くす...
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準提観音霊験記より

江戸中期、伊勢の国の松阪に、松本駝堂(だどう)という医者がいた。この人は、永年にわたって仏教に親しみ、準提観音菩薩を信仰していた。  医術を生業(なりわい)とする駝堂には、つね日頃より脳裏から離れないひとつの思いがあった。  それはほかでも...
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密教の先達、善無畏三蔵

ご隠居 今回は、善無畏三蔵(ぜんむいさんぞう)について話してみようか。 寅さん その善無畏(ぜんむい)三蔵さんというのは、どういう人なのですか? ご隠居 「大日経」を漢訳した学僧だ。善無畏三蔵(六三七-七三五年)は、     東(中)イ ン...
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吉田兼好のつれづれ草

ご隠居 きょうはひとつ古文から話を始めてみようか。 寅さん 私は自慢するわけではありませんが、数学と古文とピーマンは、中学生の     時分からあんまり好きでない性分なんですが。 ご隠居 そんなことは言わないでまあ聴きなさい。     これ...