光然の高野山修行日記 ・二  後半

鐘が鳴り終わると即座に点呼が始まり、全員の出欠確認が終れば「お願いします!」の号令とそれを返す返事と共に、十五分間の下座行(掃除をする修業)が始まります。班単位で割り振られた場所を一週間交代で清掃する事となります。
十五分が経過した頃、日直が点呼の鐘を叩き、それを耳にした院内各所に散った生徒達が急いで戻って来て、自分の座坪で合掌待機となります。ある程度落ち着いてきたところで大師、明神の御宝号「南無大師遍照金剛」「南無大明神」を全員で三遍お唱えするのですが、この際集合に間に合わず自分の座坪にたどり着けなかった場合でも、移動する事は御法度で、その場で停止し皆と共に御宝号をお唱えする必要が有ります。
寮監先生の発する「ありがとうございました!」の言葉とそれを返す生徒の「ありがとうございました」が下座行終了の合図となり、再度の三分ダッシュの合図ともなります。
急いで自室へと戻るのは同じなのですが、寒い季節ではかじかんだ指で、袈裟を留める肩紐を結ぶのは中々難易度が高く、慣れない内はやきもきしていました。
それでも遅刻をしてはならぬと素早く着替え、集会所の座坪にスリッパを並べ、(このスリッパも生徒全員の縦列横列が揃っていないと、戻って整えるよう叱責の言葉が飛んできます)食堂へ向かいます。食堂へは二列縦隊で入る前に一礼し、合掌をしたまま摺り足で自身の座坪へと行進します。

ビリビリとした空気の中、全員の集合の確認の後「食事略作法」が始まります。今回は詳細を割愛いたしますが、食事をする事の意味、感謝を示す短いお経を唱えていく事になります。その後無言で無音の食事が始まり、一日が始まるのですが、続きはまた次の機会に。

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